しーらむちゃん問題
本件はC2プレパラートによる商標乗っ取り失敗として最終確定しました。
2019年10月の横須賀フリートウィークにC2プレパラートが出店した時が初出のクリーチャー「しーらむちゃん」(SeaRAM-chan)の商標出願に伴う問題まとめ。
一言で言えば、しーらむちゃん問題とはC2機関による『SeaRAM』商標乗っ取り未遂事件のこと。
【SeaRAM】は、米国RTX Corporation(旧:Raytheon Technologies)の登録商標です。
【登録商標 国際登録第1087903号】
本件概要
本件を簡単に説明すると、
艦これ運営主体である株式会社C2プレパラート(C2機関)が、米レイセオン(現:RTX)社の現行製品の意匠と名称をそのまま用いたグッズを権利者に無断で製作・販売し多額の利益を上げただけに留まらず、
日本において商標が申請されていないのをいいことに、先願によって名称を自社の権利とするべく抜け駆け出願した[1]
という問題である。
以下本ページで詳細に解説する。
商標出願について
(株)C2プレパラートによるSeaRAM【ちゃん】の出願
株式会社C2プレパラートの出願内容と経過情報は以下のURLで閲覧できる。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-133888/A135E192A74E3829DCF4F40C0030382649227D9E137EEE8554BB45ECB13B4034/40/ja
レイセオン社によるSeaRAMの出願
問題の発端
2019年3月に【憎きあぢゅれん】の猛攻で横須賀鎮守府陥落に追い込まれて以降、悔しくて悔しくて仕方がない田中謙介は瑞雲祭り3回目でベルギーヴェルニー公園に陣取り「反転攻勢ムギャッ微差栗微差栗」と怪気炎を上げたが戦況は芳しくなかった。
半年後、海上自衛隊が開催した「横須賀フリートウィーク」に出店を構えた時にデビューさせた、新手のクリーチャー2体のうち1体が「しーらむちゃん」である。
初出はイベント前日2019年10月4日の以下の告知内動画である。(20秒過ぎに出現する)
https://twitter.com/C2_STAFF/status/1179942475978248192 (魚拓)
商標はこの前日2019年10月3日に出願されている。
- 同じくこの動画が初登場となるもう1体の「いーしーえむくん」についてはクリーチャーのページを参照。
SeaRAMとは?
米RTX(旧:レイセオン・テクノロジーズ)社が製造する、個艦防空・近接防御・対艦ミサイル迎撃システムである。
1基あたり11本のRAM(回転飛翔ミサイル)を搭載し、最小射程400m〜最大15kmを範囲に収める。
弾体はマッハ2で飛翔し、命中率は95%を超える。
本体内にレーダー・センサーなどの各種探知装置を備えており、司令室の誘導なしに自律して稼働する。
wikipedia RAM (ミサイル)も参照のこと。
SeaRAMは米国登録商標
この製品名称「SeaRAM/シーラム」は米レイセオン・テクノロジーズ社の登録商標(USPTO-85343347)である。
https://tsdr.uspto.gov/#caseNumber=85343347&caseType=SERIAL_NO&searchType=statusSearch
グッズが作られた当初、日本は国際商標の対象範囲に含まれていなかったが世界知的所有権機関(WIPO)のデータベースによると、2019年12月に日本を対象範囲に加える申請手続きが行われ、2021年2月に日本の特許庁が公示した登録査定を経て正式に発効している。
どこの誰のせいでしょうね?
SeaRAM
製品説明ページ
https://www.raytheonmissilesanddefense.com/capabilities/products/searam-ship-defense-system
事後指定の事実
https://www3.wipo.int/madrid/monitor/en/showData.jsp?ID=ROM.1087903
最下部折りたたみ内に以下の記載
↓ ↓ ↓
後日、事後指定完了が反映された。
レイセオン社は2020年4月にユナイテッドテクノロジーズ社と合併し、新しいロゴは両社の旧ロゴを融合させたものになっている。
グッズについて
艦王率いるC2プレパラートが十中八九、レイセオンに無断のまま同社の製品であるSeaRAMを基にしたキャラクターグッズを製造・販売し、並行して商標出願まで行った背景は次のように考察されている。
+艦これのプレイヤー間で初期から作品のマスコットとして認識されていたのは島風が連れている「連装砲ちゃん」であった((他に「連装砲くん」や「長10cm砲ちゃん」等の関連キャラクターもいる。))。
しずまよしのり原案の「連装砲ちゃん」は着ぐるみも作られるクリーチャー軍団を率いるボクカワウソとは比べ物にならないぐらい人気者だったが、DMM(のち分社・社名変更してEXNOA)が「連装砲ちゃん」や浮き輪に書かれた「ぜかまし」を商標登録している((ただし、特許庁のデータベースではEXNOAへの社名変更が反映されておらず、2020年4月以前の出願分に関しては「合同会社DMM GAMES」名義のままとなっている。))。
そのため連装砲ちゃんグッズを出す度にDMMへ商標料の支払いが発生するのが悔しくなったのか、2018年頃からはキモ浮き輪こと「うきわさん」をゴリ押しするようになったのを始め連装砲ちゃんの出番を極力減らす動きが見られた((しかし、セガや三越のように外部企業が金を出す場合は連装砲ちゃんに出番が回って来ることもある。))。
そうした事情(艦王の対DMM関係も参照)により「C2の独断でDMMに縛られず自由に使える代替キャラクターを欲していたのではないか?」とするもの。
+「海上自衛隊との爛れた関係をアピールするために現代兵器モチーフのキャラクターを投入することにした」と言うもの。
元から艦王はカガボッキを始め「第二次世界大戦期の艦船よりも現代の護衛艦の方が本命なのではないか?」と見られており、舞鶴総監部にしばふがデザインしたオリキャラ(通称「舞鶴芋」)を起用させたり事あるごとに「護衛艦クルーからの依頼」を強調して艦娘の艤装を省略した差分を「護衛艦の擬人化キャラクター」と称し、タテカンを飾らせたりと海自内部の謙属からの手引きもあるのか相当に好き勝手なことをやって来た経緯がある。
(それらの自称「海自コラボ」の問題点については[海上自衛隊関連]も参照)
いずれにせよ「SeaRAM」はレイセオンが自社製品の登録商標として現に使用しており、日本では伊藤忠アビエーションが総代理店として海上自衛隊に納入し、護衛艦に装備されている。
C2プレパラートが横須賀フリートウィークで複数のグッズを販売した「しーらむちゃん」は、画像を見てもわかる通り単に「名前が同一もしくは類似している」と言うだけではなく、明らかにレイセオンの製品を基にデフォルメしたキャラクターである。
これは良く言って【二次創作グッズ】に過ぎないものだが、二次創作とはそもそも厳密には違法でありそれらの販売と利益の獲得は権利者の寛容性に依存するものである。
しかしグッズ販売で満足せず、【権利者の目を盗み自身のものとして権利を確保しようと出し抜く行為】までをも許容する権利者が存在するはずがない。
田中謙介及びC2機関が【同人気分でやっている】ことを示す最たる例と言える。
出願から2020年10月までの経過
本件のC2機関による商標出願は1回目の販売機会であるフリートウィーク(2019年10月5日)の開催2日前の2019年10月3日に申請されている。
その後、米レイセオン社による出願も2019年12月4日に行われた。
翌2020年、艦王の商標出願に対しては2020年1月27日付で「刊行物等提出書」が提出された。
簡単に言えば第三者からこの商標出願に対し「これこれこう言う理由で登録させちゃダメなんじゃないんですか?」という情報が提供された(匿名にすることもできるが一定のソース・書式が必要。提出自体は無料で利害関係者以外でも出せる)という事である。
一応、即座に拒絶査定へ繋がるものではないのだが、この商標のみピンポイントで「情報提供」されたのは、上記の件を鑑みると興味深いところである。
合わせて「刊行物等提出による通知書」が2020年2月21日付(経過記録に表示されている日付。だが通知書の書面上の日付は2020年2月14日)で出ているが、これは何か特別な問題があったという事ではなく単に「こういった情報が提供されたけど、これについて確認・返答してください」といった事を言ってるだけなので、出願の正当性をちゃんと説明出来るのならば全く問題ない。
この通知書は送付したものが届かなかったのか、2020年3月10日に再送された。
これにより、C2プレパラート側がminatokuタワーに届いたこれらの通知書の内容を確認すらもしていない疑惑が浮上した。
この後、2020年3月31日に通知書が再度「再送」されていた事が2020年4月3日に判明した(これが判明した時点では、後述する2020年3月12日付けの「刊行物等提出書」に対応する「刊行物等提出による通知書」がまだ出ていなかったので、2つ目のこの「再送」は2020年2月21日に出た「先の通知書」のものと思われる)事により、その疑いがより濃厚となった。
公的書類【block】mooooooode。本当に商標通す気あんのかと。
もしこの情報提供された内容が商標登録の拒絶に値すると審査官が判断した場合は拒絶理由通知が届き、出願者が一定期間内に反論しなければ商標登録は取り下げ扱いとなる。
再送された通知に艦王が反論したのか(そもそも内容を確認したのか?)は不明。
先の通知書の最初の「再送」から2日後の2020年3月12日には新たな「刊行物等提出書」が提出され、これに対応する「通知書」が2020年4月3日(経過記録に表示されている日付。書面上の日付は2020年3月31日)に出された。
「こういった情報が提供されたけど、これについて確認・返答してください」
新たな「再送」がない為、こちらについては催促されない内には対応した模様。
二正面作戦で苦しみも含めた楽しさ倍増。
2020年3月5日に起案された【いつかあの海で】の指摘に対して2020年4月1日に【ワタナベ】が応答しているが、その前日の2020年3月31日に2度目の再送通知(到着は1日か?)を行っている本件への応答はない。
1件目の通知・再送、2件目の通知、1件目の再々送と都合よく本件だけが短期間に4度にわたって届いていない事態など想定できない。
特に1回目の再送と2件目の通知は2020年3月11日と2020年3月12日の2日連続、いつかあの海での応答と再々送も2020年3月31日と2020年4月1日で2日連続。
後者は別件とはいえ、同じ商標問題への【アクションを行っている】という事実によって通知は正しく届いていることも証明された。
特許庁から届く封筒はおそらく両者とも外見では区別はつかないと思われ、開封と内容確認はどちらも行われていると考えられる。
そのため、しーらむちゃんへの通知については【中身も知った上で意図的に無視している】ことが疑われていたが、2020年6月2日になりC2プレパラートが「ファイル記録事項記載書類の交付請求書」を特許庁に提出したことが判明した。
今から第三者の提供情報を確認してどうするつもりかは判然としないが、KADOKAWAか海上自衛隊からケツを叩かれて嫌々自分で蒔いた種の対処に乗り出しているようにしか見えないのは気のせいだろうか?
或いは、ここまで特許庁を通さず独自に示談を進めていたのかも知れないが、審査官に余計な手間をかけさせるのが登録の支障になると考えないあたりは「まさにオーク艦王らしい展開であるな」としか言いようがない。
上記の経緯もあるためか、この出願については翌年に手続補正書を自主提出した13件の商標に含まれていなかったが、やや遅れて2020年6月4日提出分の補正書が追加された(内容は上記の誤字・区分間違いの訂正のみ)。
これにより、レイセオンと全面衝突してでも商標登録を目指す意思を明確にしたものと考えられる。
なぜなら、仮に取り下げの予定があるならば補正書など出す必要がないからである。
ちなみにこの件について、【区分が違うのだから問題ない】と擁護する意見を見かけるがそれはまったくの的外れである。
想像していただきたい。意匠までそのまま用いた【ミッキーマウスちゃん】や【ピカチュウくん】を出願したとしたら、それは許されるだろうか?
これについては特許庁のサイトで【明確に否定】されている。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shutugan/tetuzuki/mitoroku.html
出願しても登録にならない商標 3.他人の登録商標又は周知・著名商標等と紛らわしいもの iv) 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標(商標法第4条第1項第15号)
このように【指定商品】が異なってもアウトだと【例示で否定】されているのだ。
拒絶理由通知
2020年10月9日付で【拒絶理由通知書】が出されたことが商標リンクの経過情報通知から確認できる。
抵触条文は===【商標法第4条第1項第15号】===
上で紹介した【紛らわしいもの】にあたる。
通知書の内容を要約すれば次のようになる。
商標の一部に出願時点で著名な名称である、Raytheon Technologies Corporation所在の名称と同一のものがある。 そのためそれを使用した名称はRaytheon Technologies Corporationと人的、組織的、あるいは経済的に関わりのある者の商品であると混同を生じる恐れがあると認める。
次に但し書きがあり、要約すると以下のようことが記載されている。
ただし出願人がRaytheon Technologies Corporationから許諾を受けていることを証明する書面を提出しそれを認定した場合にはその限りではない。
これを書面発送の日から40日以内に提出すれば再審査となる。
発送日は外部からはわからないが、起案日と経過情報更新日の間とすれば2020年11月14日~18日の間が期日となる。
現時点では拒絶確定ではないが、【商標について米レイセオン社の承諾を取り付ける】という【甲】や【史】よりも遥かに達成困難なミッションを遂行しなければ、【商標泥棒】【フリーライド】が確定してしまう。
果たしてC2機関(田中あるいはワタナベ)がどのような対応をとるか注目される。
期限は最遅で2020年11月18日と予想されるが、結果が特許庁サイトに即反映されるとは限らないため可否の判明には今しばらくの時間を要すると思われる。
- 同時に出願されていた「いーしーえむくん」に対しても「しーらむちゃん」と同日付で「既に複数人が“ECM”を商標登録しており、単に“くん”を付けただけでは別の商標とは認められない」として拒絶査定が下されている。
この時に拒絶査定が下された2件以外の商標出願20件は書類の誤字脱字を審査官が赤ペンで職権訂正して全て登録査定が行われた。
抜け駆け出願について
正確には冒認出願というが、これは権利者がその国において商標を出願していない隙を突いて、先に出願し権利を確保しようというものである。
日本は商標登録にあたっては【先願主義】を採用しているため先に出願すれば良い。(ただし第32条で先使用権の規定もある)
この出願の悪質なところは、意図せず偶然に既存製品の商標を出願してしまった【のではない】というところだ。
元となる製品の意匠、名称は完全にコピーしているし、C2機関自体が艦これ以前から自衛隊を追っていることは古い同人誌からも容易にわかり、【かが進水式に参加した事実】から現在でも注目していることは明らかである。
本件の【SeaRAM】もかがの属するいずも型から搭載されており。そのいずも型は前述の動画にシルエットとして登場している。
そしてその動画内で【SeaRAMちゃん】が初御披露目される。
商品は2度に渡って販売しており、キャラクター初公開前に商標出願も済ませているあたり計画的である。
以上のことから本出願は万が一の偶然の一致などではなく、【事業者が対象を完全に把握した上で出願した】と言える。
本問題は他でも聞くことのある事例である。
例えば、中国で【クレヨンしんちゃん】の商標が先に登録されていてトラブルになった事例はご存知の方も多いだろう。(これは最終的に双葉社が権利を取り返している)
他には【笑笑】という居酒屋の名称がインドネシアで出願されてトラブルになったものもある。
今回のC2プレパラート社による行いは国内と海外の向きを逆にして行われたこれらと同列のものである。
国内で今回の物に近い事例では【面白い恋人】事件がある。
北海道の有名菓子【白い恋人】の【商標名称を完全に包含した商標】を吉本興業がパロディした商品で出願したが、商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)で拒絶されている。(販売差し止め訴訟も行われ最終的に和解している)
他に国内で聞かれ最も悪質なものでは【PPAP】の商標トラブルで話題になった【上田育弘氏】がある。(膨大な数の冒認商標出願を行っており、この者のために法律改正されたとまことしやかに言われる程である)
今回は先の項に示しように出願は却下されたが、特許庁が世の中すべての商品を把握しているわけではないため、可能性としては登録された未来もあり得た。
もし登録が通っていた場合はレイセオン社の出願が却下された可能性もあり、その場合は【先使用権】で登録無効を争うことになっただろう。
実際、もしC2プレパラートが登録に成功していた場合、レイセオンが却下される可能性は次の項で紹介するように十分あり得た事態である。
本問題では特許庁が拒絶査定を出したためレイセオン社に商標的不利益はないものの、指定国追加や出願などで余計な負担を強いられたのは事実であり、 【わかっていながら出願した】という点で一片も擁護することはできない。
許諾事例
今回と同じような拒絶案件で許諾を得られた事例がある。
それはかの有名な【iPhone】の商標だ。
これは米アップル社製造のスマートフォン端末であるiPhoneを日本に展開するにあたって商標を申請したが、類似商標があるということで却下されたというものだ。
日本においてはインターホン製造のアイホン株式会社が、1955年に【アイホン】、1969年に【AIPHONE】を登録しており、(アイホンは後に社名にもなった)
これらの商標があるためにアップル社の商標が拒絶された。
しかし製品名称を変えるわけには行かないアップル社は次のような交渉を行って商標の使用に漕ぎ着けている。
それは権利者であるアイホン社に【iPhone】の商標を取得してもらい、(これは権利元の申請であるため類似でも拒絶されない)
その商標を使用料を支払うことでアップル社が利用するというわけだ。
これによってアップル社は日本国内においても【iPhone】の名称が使えることとなった。
iPhoneの箱や紹介パンフレットをお持ちの方は注意書きをよくご覧いただけば次の一文が記載されていることを確認できるだろう。
iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
アイホン社のプレスにも以下のようにある
https://www.aiphone.co.jp/ https://www.aiphone.co.jp/ir/docs/pdf/disclosure/2008/20080324_2.pdf このたび、両社は、日本国内においては弊社がApple社に使用許諾を、日本以外の地域においては両社の商標が共存することで友好的な合意に至りました。
アイホンは海外展開もしており、導入事例ではホワイトハウスでの採用例もあるようだ。
本問題においてC2機関が本来取るべきだった行動は以上のようなものだと言えるだろう。
拒絶理由の中で特許庁が求めている【レイセオン社の許諾】とはこのような事例を念頭に置いたものと考えられる。
え?レイセオンが【しーらむちゃん】申請するの?
ちなみにPS Vita用ソフト『艦これ改』は角川ゲームスの発売だが、恐らくは上記のiPhoneと同じ理由でDMM.comラボ(当時)が商標登録して角川ゲームスに商標の使用を許諾する形を取っていた。
艦これ改関連で説明されている通り商品自体は既にロットアップし、ダウンロード販売も打ち切られているが「艦これ改」の商標は今なおDMMから分社されたEXNOAが保有している。
2020年10月から現在までの経過
2019年10月3日の出願から1年後の2020年10月5日付で特許庁審査官が【しーらむちゃん】(別名:SeaRAMちゃん 英:SeaRAM chan)への拒絶査定を下した。
異議申し立ての期限は「決定書の発送から40日以内」とされているため、同日発送なら2020年11月14日、商標公報データベースに情報登録された2020年10月9日を起算点とするなら2020年11月18日が期限となる。
同日までに(株)C2プレパラート側がリアクションを起こさない場合は却下が確定することになるが、2020年11月19日時点では異議申し立てが行われた形跡は無い。
もしかして:D敗北確定
2021年3月9日、特許庁審査官から2020年10月5日付の通知書で指摘した問題点が解消されていないとして【いーしーえむくん】(別名:ECMくん 英:ECM kun)と共に拒絶査定が通知された。
制度上は2021年6月6日までに不服審判を申し立てることは出来たが、審査官は国際商標を保有するレイセオン社からの許可を求めているため、現状ではまず査定が覆る可能性は無いと見られていた。
拒絶通知に対しても特にアクションを起こさなかったため、そのまま最終確定したものと思われる。
これに対し、2019年12月に出されていたレイセオン社の国際商標出願は2021年1月26日に日本を対象範囲に含める登録査定が行われ、2021年2月10日付で正式に日本国登録商標(国際登録1087903号)となっている。
2021年3月23日、レイセオン社SeaRAMの出願が【存続-登録-継続】となり正式に登録商標となった。
残るは特許庁データベースのステータス更新待ち。
なお、これまでC2(機関・プレパラート)から外部へ向けたコメントはない。
拒絶査定が確定した場合
2019年10月に海上自衛隊が主催した横須賀フリートウィークで販売した「しーらむちゃん」のグッズ各種は当然に「権利侵害物品」の謗りを免れなくなる。
レイセオン側がC2プレパラート相手にアクションを起こすかは不透明だが、そうなった場合は艦王をイベント出入り業者として招き入れた海上自衛隊内部の謙属も「出入り業者が権利侵害物品を売りさばいた」と言う結構な不祥事で責任を問われることになりかねないのではないか?
商標出願の最終結果
最終期限は2021年6月6日でその後特許庁の情報が更新され次第確定。
それに先立つ形で2021年3月23日、本家SeaRAMの出願が【存続-登録-継続】となり正式に登録商標となった。
そして2021年10月12日をもって『拒絶査定』という最終処分が確定。
C2プレパラート(C2機関)による商標乗っ取り行為は失敗に終わった。
(株)C2プレパラートの商標出願却下確定後の展開と注意事項
はじめに
著作権法と商標法はまったく別物です。
C2プレパラートは同人誌を作るノリでやった何気ないことかもしれませんが、非常に大きな問題ですので注意しましょう。
著作権法は親告罪ですが、商標法は非親告罪です。
立件の可能性
商標を持つレイセオン・テクノロジーズ(旧レイセオン)と、日本代理店である伊藤忠アビエーションが、C2プレパラートの責任を追及する可能性は0ではありませんが、日本で商標が認められたのは2021年2月です。
出願時点の2019年12月時点で判断したとしても、2019年10月に行った販売行為を咎めることは「法の不遡及」(法令の効力はその法の施行時以前には遡って適用されない)により難しいでしょう。
C2プレパラートは「しーらむちゃん」グッズを売れません
「しーらむちゃん」がSeaRAMをパクッたパチモンと確定したのですから、当然「しーらむちゃん」グッズを今後売ることはできません。
万が一、「しーらむちゃん」グッズを再び売るようなことがあった場合は、速やかに関係機関に通報しましょう。
前述のとおり、商標権は非親告罪なので、通報するのは著作権とは違い権利者でなくても構いません。
実際に立件するべきかどうかは警察や特許庁など捜査機関が判断してくれますので、粛々と情報を提供するだけで良いのです。
侵害が認められた場合は商標侵害罪(商標法第78条)が適用され処罰されます。
不審なものを見つけた場合や、実際に購入してしまった場合、速やかに関係機関に相談しましょう。
独立行政法人 国民生活センター 模倣品や海賊版などを見つけたら http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2020_14.html
特許庁 政府模倣品・海賊版対策総合窓口 https://www.jpo.go.jp/support/ipr/
その他、お近くの警察署、各都道府県のサイバー警察でも相談を受け付けています。
「しーらむちゃん」グッズをオークションで売るのは危険です
「しーらむちゃん」グッズをオークションなどで売る行為も危険行為となります。
パチモン商品を個人間で取引することになるため、厳密にいうと商標違反となります。
ただし、他の知能犯と同じく故意・未必の故意のどちらかでない限り、罪にはなりません。
少なくともこの文章を読んだ方は、「問題がある」とわかっているわけで、故意となりかねないので気を付けましょう。
販売されていた場合の通報先
もし販売店で中古グッズとして売られていた場合は、善意の市民として通報することができます。
模倣品や海賊版などを見つけたら 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2020_14.html
販売店向けメール参考例
もし販売店で中古グッズとして売られていた場合は、善意の市民としてメールで教えてあげましょう。
C2機関(C2プレパラート)関連商品の買取・中古販売についてのご注意 同業他社で危険なケースが見つかったので、念のためにお知らせいたします。 同人サークルC2機関(株式会社C2プレパラート)が以前のイベントで販売した商品 「しーらむちゃん」「いーしーえむくん」の関連グッズ(アクリルスタンド、Tシャツなど)が、 『艦隊これくしょん』関連の同人グッズとして買取・中古販売されているケースがあるようです。 K-booksで見つかった事例 https://akihabara003.stores.jp/items/60bdf253847396470d320597 https://akihabara003.stores.jp/items/61a445becc324358ffbecd79 駿河屋で見つかった事例 https://www.suruga-ya.jp/product/detail/508299391 https://www.suruga-ya.jp/kaitori_detail/508189160 これらはC2機関が他者の登録商標を侵害して勝手に同人グッズとして作成した違法商品です。 一言でいえば海賊版商品なのです。 しーらむちゃん (特許庁での商標情報。他者の商標に類似として却下されています) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-133888/A135E192A74E3829DCF4F40C0030382649227D9E137EEE8554BB45ECB13B4034/40/ja いーしーえむくん (特許庁での商標情報。他者の商標に類似として却下されています) https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-133889/7E01FA194629264211164FB8E865C7F96C4A79DFCE8B41F5E5CE81973D8D8CDD/40/ja もし買取に持ち込まれた場合は必ず買取拒否をすること、 買い取ってしまった場合は破棄し、中古販売しないようお願いいたします。 もし販売した場合は、商標法違反容疑で特許庁に連絡しなければなりません。 そのようなことはしたくないので、くれぐれもご注意くださいませ。
海賊版商品販売実績リスト
本件海賊版商品の販売実績は以下の通り
https://twitter.com/aoshimaP/status/1186983664501972992 (魚拓)
https://twitter.com/tamayasora5883/status/1194761655328002050 (魚拓)
https://twitter.com/Hi_ye/status/1180860434141761536 (魚拓)
https://twitter.com/2siv1vLL7JxHe99/status/1180790267395203072 (魚拓)
https://twitter.com/N3985Q/status/1180739701226917888 (魚拓)
https://twitter.com/numarinko_01/status/1180670668368531456 (魚拓)
https://twitter.com/R1papa/status/1180633925623828481 (魚拓)
https://twitter.com/sadaharu2014/status/1180425421189369856 (魚拓)
https://twitter.com/riverumegane/status/1180410573525118976 (魚拓)
https://twitter.com/hiiragi_0_4/status/1180387400549224448 (魚拓)
https://twitter.com/KC__kanon/status/1180342878574239746 (魚拓)
https://twitter.com/Lucasi9/status/1180284613786161152 (魚拓)
https://twitter.com/nandemo_arima/status/1181902221291556864 (魚拓)
https://twitter.com/EXY10_SERA/status/1180837882258284545 (魚拓)
https://twitter.com/tanichan_numazu/status/1199935660196388864 (魚拓)
https://twitter.com/Lcain16049247/status/1180792777002536961 (魚拓)
https://twitter.com/tukimizake62/status/1180783387042123776 (魚拓)
https://twitter.com/ze_ro_na_na/status/1180499510109208576 (魚拓)
https://twitter.com/yasubesyan/status/1180796180994785286 (魚拓)
https://twitter.com/Asg151CM/status/1188018919853842432 (魚拓)
https://twitter.com/kusakaiza/status/1186665332464734209 (魚拓)
https://twitter.com/Vanilla4122/status/1185512340189396992 (魚拓)
この他多数
商品の販売は【2度】に渡って行われている。
1回目はフリートウィーク、2回目は呉イベントである。
これまで事情説明・商品回収などは【もろちん】行われていない。
C2による販売告知
事業者による本件海賊版商品の販売告知は以下の通り
- 販売1回目 自衛隊観艦式「フリートウィーク」 2019年10月5日(土)・10月6日(日)
https://twitter.com/C2_STAFF/status/1180273813537222656 (魚拓)5,8,21番- この時は主催団体である海上自衛隊横須賀地方総監部からも紹介された
https://twitter.com/jmsdf_yrh/status/1180036499317772288 (魚拓)
- この時は主催団体である海上自衛隊横須賀地方総監部からも紹介された
- 販売2回目 ちんじゅふ。艦娘 Special Live in 呉鎮守府 2019年10月20日(日)
https://twitter.com/C2_STAFF/status/1185379972833144834 (魚拓) 38番
レイセオン社の商標登録による影響
今回のC2機関による商標泥棒出願は不調に終わる予定だが、一連の問題は実はまだこれで終わらなかったりする。
それは、レイセオン社が日本で商標登録を行ったことでSeaRAMを表記する際に【商標登録表示】が必要になってくることだ。
具体的には製品名称を表記するときに【登録商標 日本国登録商標第〇号】という表示が必要になる。
国際登録商標の場合は【登録商標 国際登録第〇号】という表記になる。(こちらが今回のSeaRAMに該当)
商標法施行規則 (商標登録表示) 第十七条 商標法第七十三条の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。
ちなみに【R】の表記は日本国内では表示として認められていないため【商標登録表示】の効力を有せず、効力発揮のためには上の表記を用いなければならない。
https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/shouhyou_seido_faq.html#1-4 「Rマーク(®)」は、外国の商標制度においてRegisteredTrademark(登録商標) を意味するもので、日本の商標法に基づく商標登録表示ではありません。
なお国際商標の範囲に【含まれていない】場合は【国際登録第〇号】の表記で良い。
表記については施行規則の通り、本来は「登録商標」と「登録番号」の表記が推奨されているが義務ではないため、
Rマークのみの表記でも法的に無効な表記というわけでもない。(いずれも特許庁回答)
表示については商標法第73条にあるように【努めなければならない】という努力目標でしかないため行わなかったとしても罰則などはない。(しかし権利者の場合はわざわざ取得した商標を表示しないなどという選択はとらないだろう)
そのため、一般的にはSeaRAMの名称を使うに当たって表記していなくても特に問題にはならない。
が、【一部】はそうは行かないと考えられる。
その一部とは権利者である【レイセオン社】、そして代理店である【伊藤忠アビエーション】と製品利用者である【自衛隊】である。
レイセオン社は伊藤忠を代理店としているので直接日本国内での表記問題には直面しないと思われるが、その伊藤忠はそうは行かないだろう。
伊藤忠アビエーションが【製品販売代理店】として国内窓口業務を行う以上、取扱う製品の権利表記について正確を期すためには表示を改める必要があると考えられる。
自衛隊は国防を担う国家機関として【製品メーカーの権利保護のため】には努力目標といえど守る必要は生じると思われる。
つまりこの項で言う【レイセオン社の商標登録による影響】とは、この2団体(あるいはそれ以上)のWEBサイトや広報媒体、説明資料などにおける表記を書き直さなければならないということだ。
C2機関の藪蛇のために関係者が要らぬ負担を強いられることで延焼はまだおさまらない。
2021年6月〜7月頃にかけて伊藤忠アビエーションのサイト内にて商標マークが付加された。
事件の時系列
年月 | 出来事 | |
---|---|---|
2019年 | 10月 | 3日に(株)C2プレパラート(以下「C2P」)が【しーらむちゃん】【いーしーえむくん】を商標出願 |
5・6日、海上自衛隊主催の横須賀フリートウィークにC2Pが出店し【しーらむちゃん】のグッズを販売 | ||
20日、呉鎮守府開庁130周年記念リアイベで【しーらむちゃん】グッズ(横須賀と同じ商品)を販売 | ||
11月 | 愚痴スレに「レイセオンへ情報提供を行った」と報告あり | |
12月 | レイセオンが日本の特許庁へ国際商標の指定国に日本を追加するよう出願を行う | |
2020年 | ||
1月 | C2Pの【しーらむちゃん】商標出願に対する第三者からの【刊行物等提出書】が特許庁に送付される | |
2月 | 特許庁が【刊行物等提出による通知書】をC2Pへ発送するが、C2P側はリアクションせず黙殺 | |
3月 | 特許庁が前月と同じ内容の通知を再送するが、C2P側は再度の黙殺 | |
第三者により特許庁へ2通目の【刊行物等提出書】が送付される | ||
特許庁が1通目の通知を再々送 | ||
4月 | 特許庁が2通目の【刊行物等提出による通知書】をC2Pへ発送、累計4度目にしてようやく通知を確認するも提供情報の内容は確認せず | |
6月 | C2Pが提供情報の内容を確認 | |
C2P側は出願を取り下げず、内容修正の手続補正書を2回に分けて特許庁へ提出 (修正内容は1回目が【ちからタログ】等の誤字修正、2回目が記述の微小修正であり通知とは無関係) | ||
10月 | 特許庁からC2Pへ拒絶理由の通知が行われる | |
11月 | 18日(※最遅の場合)に拒絶理由通知への対応期限を迎える | |
2021年 | ||
2月 | 特許庁がレイセオン社の申請を認める登録査定を行ったことが公示され、日本が正式に国際登録商標の対象範囲へ追加される | |
3月 | レイセオン社が登録料納付を完了 | |
9日付で【いーしーえむくん】を含めた2件の拒絶査定(カッコカリ)が下される | ||
19日、SeaRAMの特許庁における商標ステータスが【存続-登録-継続】となりレイセオン社の出願はこれで完了した | ||
30日、SeaRAMに登録証発行 | ||
4月 | 13日、特許庁がC2Pへ拒絶査定を再送 | |
6月 | 6日に不服審判の期限(審判請求の形跡が無いため拒絶査定が正式に確定したと思われる) しばらく経っても特許庁の情報が更新されなければ審判は行われず却下が確定したことを示す | |
7月頃 | 伊藤忠アビエーションの製品紹介ページ内でSeaRAMに商標マークが付加される | |
10月12日 | C2プレパラート(C2機関)の出願が『拒絶査定』で最終確定した |
おまけ
この問題に付随・関連する小ネタ等。
その1
レイセオン(現:RTX)社は何故か一般向けに時々プロモツイートを流している。売ってくれるの?
このレイセオンのプロモを表示するには広告アカウントをブロックし続けるとやがて出てくるらしい。
興味のある方はぜひ。
https://twitter.com/RaytheonDefense/status/1367208674079498247
https://twitter.com/RaytheonDefense/status/1367208667997741065
https://twitter.com/RaytheonIntel/status/1408503992116776969
https://twitter.com/RaytheonIntel/status/1408504002963193864
ヨサンに余裕のある方は検討してみてはいかがだろう。(宣伝)
よーしパパこのSPY-6レーダー頼んじゃうぞー
SPY-6レーダーの紹介ページはこちら(日本語)
ちなみにSPY-7レーダーを開発中でRTX社と競合するメーカーのロッキード・マーティン社は公式日本語アカウントを持っている。
https://twitter.com/LMJapanNews
RTX社のアカウント開設が待たれる(?)。
その2
wikipediaで「しーらむちゃん」問題を記載しようとした方がおり、一時実際に書きこまれた。
間もなく全文削除されたものの、他者の意見を求めることなく早急すぎる削除だったため不審がられ、「全文を消す必要はなく、問題のあった個所だけ直せばよかったのではなかったのか」と論争が始まっている。
参加してみたい方はwikipediaのノートを参照してみてほしい。
その3
レイセオン製品を導入したくとも設置スペースはともかく予算的に難しいというのがほとんどだろう。
そんなあなたに朗報。
レイセオンはかつて半導体を生産しており、ICチップや真空管が現在でも取引されているのだ。
特に真空管はオーディオアンプ用に使用している様子がyoutubeなどでも見られ、
他には近年レイセオン製真空管を用いたポータブルヘッドホンアンプも作られていたようだ。
https://japan.cnet.com/article/35033705/
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/todays_goods/608970.html
こちらはすでに販売終了しているため入手は中古に頼ることになるだろうか。
あなたのお部屋にレイセオンの息吹を感じたい方はぜひご検討を。
その4
草百(ニコニコ大百科)でめでたく記事ができる。
編集のお手伝いはもちろん、コメントでの賑やかしなども歓迎。
https://dic.nicovideo.jp/id/5647153
脚注・出典
- ↑ 正確には冒認出願という