9,321
回編集
Dr.natural (トーク | 投稿記録) |
Dr.natural (トーク | 投稿記録) (→判決文) |
||
| (3人の利用者による、間の16版が非表示) | |||
| 11行目: | 11行目: | ||
==判決== | ==判決== | ||
https://twitter.com/sollamame/status/1640305421754966016 | https://twitter.com/sollamame/status/1640305421754966016 [https://archive.md/avxIc (魚拓)] | ||
そらまめ@sollamame | そらまめ@sollamame | ||
「艦これ」同人誌頒布行為について、ゲーム開発運営会社や同社代表者らに対する名誉毀損の成否等が問題となった東京地裁令和5年1月26日判決が公開されています。 | 「艦これ」同人誌頒布行為について、ゲーム開発運営会社や同社代表者らに対する名誉毀損の成否等が問題となった東京地裁令和5年1月26日判決が公開されています。 | ||
| 22行目: | 22行目: | ||
'''「著作権が争点ではない」'''とはっきり名言されています。 | '''「著作権が争点ではない」'''とはっきり名言されています。 | ||
https://twitter.com/ootsuka/status/1640483097648173056 | https://twitter.com/ootsuka/status/1640483097648173056 [https://archive.md/gb21k (魚拓)] | ||
行政書士 大塚大@ootsuka | 行政書士 大塚大@ootsuka | ||
「艦これ」のキャラクターを性玩具に見立てた同人誌を頒布したなどで肖像権、名誉権侵害が認められた事案。艦これ性玩具同人誌肖像権侵害事件 東京地裁令和5.1.26令和3(ワ)11118損害賠償等請求事件(著作権は争点ではありません) | 「艦これ」のキャラクターを性玩具に見立てた同人誌を頒布したなどで肖像権、名誉権侵害が認められた事案。艦これ性玩具同人誌肖像権侵害事件 東京地裁令和5.1.26令和3(ワ)11118損害賠償等請求事件(著作権は争点ではありません) | ||
| 29行目: | 29行目: | ||
== 判決文 == | == 判決文 == | ||
裁判結果詳細:https://www.courts.go.jp/ | 裁判結果詳細:https://www.courts.go.jp/hanrei/91953/detail7/index.html | ||
以下は判決文に記載されていた内容の解説となる。解説の際に内容が重複したり前後することには留意されたし。<br> | 以下は判決文に記載されていた内容の解説となる。解説の際に内容が重複したり前後することには留意されたし。<br> | ||
| 178行目: | 178行目: | ||
同人誌の頒布行為が名誉毀損に値すると主張する原告側の根拠は以下の通り。 | 同人誌の頒布行為が名誉毀損に値すると主張する原告側の根拠は以下の通り。 | ||
* | *被告は同人誌の制作に一切無関係だった原告らや艦これの名称をクレジットに表記することで、あたかも原告らが関係者であるかのように扮った。被告の行為は同人誌の内容から「原告らは艦これキャラを性玩具として扱うことを許容している」「原告らが自身が運営するコンテンツに愛着も敬意も抱いていない」といった印象を与えるものであり、原告らの社会的評価を低下させる。 | ||
*被告が頒布した同人誌内のキャラクター描写は、艦これに対する著しい中傷である。即売会は原告会社のガイドラインに沿った形で運営されており、その即売会で問題の同人誌が頒布されることは、その同人誌の作成・頒布を原告会社が認容していると捉えられかねない。また同人誌に原告会社の名称がクレジット表記されていることは、キャラクターの中傷に原告会社が関与していたという誤解を与えるものである。 | *被告が頒布した同人誌内のキャラクター描写は、艦これに対する著しい中傷である。即売会は原告会社のガイドラインに沿った形で運営されており、その即売会で問題の同人誌が頒布されることは、その同人誌の作成・頒布を原告会社が認容していると捉えられかねない。また同人誌に原告会社の名称がクレジット表記されていることは、キャラクターの中傷に原告会社が関与していたという誤解を与えるものである。 | ||
*同人誌内のカレー機関の描写は、原告らが風営法に違反している可能性がある店舗を営んでいるという誤解を与えるものである。 | *同人誌内のカレー機関の描写は、原告らが風営法に違反している可能性がある店舗を営んでいるという誤解を与えるものである。 | ||
| 186行目: | 186行目: | ||
*クレジット表記はユーモアの範疇であり、原告らが同人誌の関係者であるという印象を読者が受けることはない。 | *クレジット表記はユーモアの範疇であり、原告らが同人誌の関係者であるという印象を読者が受けることはない。 | ||
原告側の主張で注目すべき点は、被告の同人誌の内容が'''「原告らは艦これキャラを性玩具とした扱うことを許容している」「原告らが自身が運営するコンテンツに愛着も敬意も抱いていない」'''と言った印象を受けるから名誉毀損に当たる、としている所だろう。前者の主張をそのまま受け取るならば、逆説的に「原告らは艦これキャラを性玩具として扱うことを'''許容していない'''」と捉えることができ、他のR-18艦これ同人誌は問題にならないのか?と言った疑問が生まれてくる。後者の主張については、往年の公式によるキャラの扱い([https://imgur.com/iRkGM6L 那珂ちゃん解体セット] | 原告側の主張で注目すべき点は、被告の同人誌の内容が'''「原告らは艦これキャラを性玩具とした扱うことを許容している」「原告らが自身が運営するコンテンツに愛着も敬意も抱いていない」'''と言った印象を受けるから名誉毀損に当たる、としている所だろう。前者の主張をそのまま受け取るならば、逆説的に「原告らは艦これキャラを性玩具として扱うことを'''許容していない'''」と捉えることができ、他のR-18艦これ同人誌は問題にならないのか?と言った疑問が生まれてくる。後者の主張については、往年の公式によるキャラの扱い([https://imgur.com/iRkGM6L 那珂ちゃん解体セット]、赤城の大食いキャラ&足柄の行き遅れネタの公式化など)を見れば嘘と言いたいところだが、これらの行いが「愛着も敬意も抱いていない」と断定するに足るのかは不明のためここでは一旦保留とする。 | ||
'''裁判所の判断''' | '''裁判所の判断''' | ||
| 410行目: | 410行目: | ||
要約すると'''「被告の艦娘に関する侮辱的&凌辱的なツイートは、原告会社も被告と同様に艦娘を扱っているという印象を与えるので名誉毀損に当たる」'''ということである。被告のツイートが実際にどのようなものであったのかについては[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/953/091953_option1.pdf 添付資料]を参考にして欲しいが、被告はツイートの中で原告会社の名前を用いておらず、艦娘の設定が被告が描写しているものと同様であると主張しているわけでもない。したがって、この2点については原告側の主張が通るとは考えにくい。 | 要約すると'''「被告の艦娘に関する侮辱的&凌辱的なツイートは、原告会社も被告と同様に艦娘を扱っているという印象を与えるので名誉毀損に当たる」'''ということである。被告のツイートが実際にどのようなものであったのかについては[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/953/091953_option1.pdf 添付資料]を参考にして欲しいが、被告はツイートの中で原告会社の名前を用いておらず、艦娘の設定が被告が描写しているものと同様であると主張しているわけでもない。したがって、この2点については原告側の主張が通るとは考えにくい。 | ||
なお、原告側は艦娘の設定に関して'''「艦娘は人(あるいは戦艦の擬人化)であり、侮辱や凌辱を受け得る存在ではない」'''と主張しており、そのようなを描写を行うことに対して否定的な立場を取っている。しかしながら艦これの二次創作物(特に同人誌)において、艦娘を侮辱あるいは凌辱するシチュエーションを含む作品があることもまた事実である。したがってそれらが生まれている現状の二次創作界隈の環境は、(その主張を鵜呑みにするならば)原告側にとって不本意であると読み取ることができる。実際にそのことを理由に原告側が裁判を起こす可能性は低いだろうが、今回の原告側の主張は二次創作界隈に一定の影響を及ぼし得ると考えられる。 | |||
次に「原告らが被差別部落への差別を助長しているかのような投稿」について、以下のように主張している。 | 次に「原告らが被差別部落への差別を助長しているかのような投稿」について、以下のように主張している。 | ||
| 466行目: | 468行目: | ||
裁判所は被告のツイートが原告らの名誉を毀損していると認め、被告側の主張を退けた。<br> | 裁判所は被告のツイートが原告らの名誉を毀損していると認め、被告側の主張を退けた。<br> | ||
ここで注意するべきは、裁判所が名誉毀損と認めたのは'''「カレー機関をキャバカレーと呼ぶツイート」と「キャバカレーが摘発され原告Aが逮捕されたとするツイート」を同時に行った場合'''におけるものであるという点である。前者のみあるいは後者のみのツイートであった場合において、名誉毀損に当たるのかについては裁判所は判断していない。無論これは「名誉毀損に当たらない」というわけではなく、特に後者については明らかなデマであるため、前者よりも名誉毀損と判断される可能性が高いことを付記しておく。 | ここで注意するべきは、裁判所が名誉毀損と認めたのは'''「カレー機関をキャバカレーと呼ぶツイート」と「キャバカレーが摘発され原告Aが逮捕されたとするツイート」を同時に行った場合'''におけるものであるという点である。前者のみあるいは後者のみのツイートであった場合において、名誉毀損に当たるのかについては裁判所は判断していない。無論これは「名誉毀損に当たらない」というわけではなく、特に後者については明らかなデマであるため、前者よりも名誉毀損と判断される可能性が高いことを付記しておく。 | ||
また、裁判所の判断は「被告のツイートが名誉毀損に当たるか」について焦点に当てたものであって、カレー機関の運営方法については論じていない。要するに被告のツイートが名誉毀損に当たることは認めるものの、'''実際のカレー機関の運営方法が風営法に違反していないことを保証しているわけではない'''ということである。今回の裁判所の判断を錦の旗に「カレー機関が風営法に違反しているというのはデマ!」と触れ回るのは、単に自分が恥をかくだけなので注意が必要である。 | |||
次に裁判所はその他のツイートについて以下のように論じている。 | 次に裁判所はその他のツイートについて以下のように論じている。 | ||
| 743行目: | 747行目: | ||
ただし被告が控訴しなかったこと、賠償金を速やかに全額支払ったことなどを考えると、今回の裁判が被告に対して大きなダメージを与えたのかについては疑問を残すところである。 | ただし被告が控訴しなかったこと、賠償金を速やかに全額支払ったことなどを考えると、今回の裁判が被告に対して大きなダメージを与えたのかについては疑問を残すところである。 | ||
== 愚痴スレへの影響 == | |||
今回の裁判が愚痴スレに与える影響、ぶっちゃければ'''原告らが愚痴スレ相手に裁判を起こす可能性'''について考察する。<br> | |||
あくまで素人個人による考察なので鵜呑みにしないように注意。 | |||
愚痴スレ的に関係がありそうな'''「名誉毀損および名誉感情の侵害」「肖像権」'''の2点について述べる。 | |||
=== 名誉毀損および名誉感情の侵害について === | |||
「名誉毀損」と「名誉感情の侵害」は似て非なるものであり、前者は「他者から見た自身への評価への侵害」、後者は「自分自身が感じている自分への評価への侵害」という違いがある。<br> | |||
「名誉毀損」は社会評価の低下といった客観的な名誉は守れるものの、「不快に思った」「プライドを傷つけられた」といった主観的な名誉を守ることが出来ない。それを補完するためにあるのが「名誉感情の侵害」であり、これにより人が持つアイデンティティや自尊心を守ることが可能となっている。 | |||
これを踏まえて、実際に「名誉毀損」「名誉感情の侵害」となる事例はどのようなものなのかを考えてみる。 | |||
;「名誉毀損」の成立事由 | |||
刑法230条および刑法230条の2においては名誉毀損について次にように記載されている。刑法に記載されているので、民事訴訟だけでなく刑事告訴も可能であることに注意が必要である。 | |||
{| class="wikitable" style="width:75%; margin: auto; | |||
| style="width:50%;padding-bottom:0px;" | | |||
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。 | |||
2.死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。 | |||
<div align="right">-刑法230条</div> | |||
|} | |||
{| class="wikitable" style="width:75%; margin: auto; | |||
| style="width:50%;padding-bottom:0px;" | | |||
1.前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。 | |||
2.前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。 | |||
3.前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。 | |||
<div align="right">-刑法230条の2</div> | |||
|} | |||
名誉毀損の成立要件は'''「公然と」「事実を摘示して」「人の名誉を毀損することで」「違法性阻却事由がないこと」'''である。<br> | |||
「公然」とは'''不特定多数の人間が直接的に認知できる状態'''のことを指す。新聞や雑誌、SNSなどでの発言は、不特定多数の人間が閲覧できるので「公然である」と解釈される。特にネット上に発言に関しては、認知できる人が少数&不明であったとしても、その発言が噂として広範囲に拡散する可能性を理解しているのであれば「不特定多数への摘示」と同一視される。 | |||
「事実の摘示」とは'''具体的な事実内容を示したこと'''を言う。つまり発言に真偽は関係が無く、それがデマや根も葉もない噂であっても成立する。今回の裁判における[[フェイスマスク事件裁判・判決編#本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否|「本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否」]]の【本件店舗に関する誹謗中傷】において、「カレー機関が風営法に違反しており、原告Aが逮捕された」というデマが名誉毀損として訴えられているのはそのためである。また「具体的な事実」なので、「デブ」「無能」といった主観ではなく「詐欺師」「脱税犯」といった実際に確認することができる具体的事柄であることが必要である。 | |||
「人の名誉の毀損」について、ここでの'''「人」とは個人だけでなく企業や法人も含めたもの'''を指す。今回の裁判における[[フェイスマスク事件裁判・判決編#本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否|「本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否」]]において、原告Aと原告会社が共同で名誉毀損を訴えているのはそのためである。<br> | |||
一方、名誉毀損の対象となるのはあくまでも「人」なので、商品やサービスなどの「物」に対する批評は対象外となる。アニメを例に取るならば、'''「アニメの出来について脚本家を誹謗中傷するのは名誉毀損になりえるが、アニメそのものを貶すことは(間接的な脚本家への攻撃とならなければ)名誉毀損にはならない」'''ということである。ただし上記で述べたように、名誉毀損の「名誉」とは「他者から見た自身への評価」であるため、誹謗中傷されて自尊心やプライドが傷つけられたとしても、社会からの評価が低下していないのであれば名誉毀損に該当しない。これは「表現の自由(言論の自由)」を守るための配慮である。<br> | |||
また「人」が対象である以上、対象が「誰」であるのか特定されている(同定可能性)ことが必要である。例えばSNS上でアカウント名を使って相手を中傷したとしても、そのアカウント名に該当する実在の人物が誰にあたるのかを第三者が理解できないのであれば名誉毀損に該当しない。逆に実名を書かれていなくても(イニシャルや伏せ字、匿名表記であっても)、その内容から該当者が容易に特定できる(同定可能性が高い)のであれば名誉毀損が成立する。 | |||
「違法性阻却事由がないこと」については、刑法230条の2のような例外、つまり'''「公共性があり」「公益を図る目的で」「真実または真実相当性があること」'''に当てはまらないことが条件である。<br> | |||
*「公共性」は一般的には政治家や官僚を指すが、裁判においては宗教団体や有名企業の幹部などの社会的影響力が強い人物も広く該当する。<br> | |||
*「公益を図る目的」とは、その情報が一般または組織内に広く周知するべき正当な理由があった場合を指す。<br> | |||
*「真実相当性がある」とは、それを真実であると信じることができる正当な理由や根拠があることを指す。<br> | |||
つまり社会的影響力がある人物について、その情報を広く周知する必要があり、内容が真実あるいは真実を証明するに足る理由や証拠が揃えられているのであれば名誉毀損には当たらないということである。 | |||
;「名誉感情の侵害」の成立事由 | |||
名誉感情を保護する刑法は存在しないため、刑事告訴を行うことは出来ない。しかし名誉感情が侵害されているときは大抵社会的評価も低下しているので、名誉毀損罪や侮辱罪の方面から刑事告訴されることが多い。 | |||
名誉感情の侵害の成立条件は「社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められる場合」、すなわち'''常識的な範囲を超えた人格攻撃かどうか'''が焦点である。その性質上、名誉毀損とは違って侮辱行為の内容が抽象的であってもよく、本人がどう思ったのか(自尊心やプライドを傷つけられたと感じたかどうか)が焦点であるため違法性阻却事由も存在しない。しかしそれでは裁判を乱発される可能性があるため、成立したかどうかの判断には下記のような様々な事情を考慮している。 | |||
*問題とされる言動の内容 | |||
*公然性の有無 | |||
*当該言動の前後の文脈 | |||
*当該言動の態様(手段・方法)及び状況、特に当該言動がされた時期・場所 | |||
*当該言動の程度、特にその頻度・回数 | |||
*当該言動に至る経緯とその後の状況、特に当該言動の前後にされた被害者による加害者に対する言動の状況 | |||
*当該言動に係る当事者の関係、年齢、職業、社会的地位等 | |||
*当該言動の動機、目的、意図等 | |||
社会通念上、すなわち一般常識に照らし合わせて判断されるため、問題となる発言だけでは判断するには証拠不十分。よってありとあらゆる事情を加味して判断する必要があるということである。 | |||
ここまでを踏まえた上で、愚痴スレにおいて「名誉毀損」や「名誉感情の侵害」にどのようなものが該当するのかを考えてみる。 | |||
*「公然」については、5chは不特定多数の人が閲覧できる掲示板なので「公然である」と言える。 | |||
*「事実の摘示」については、カレー機関や佐世保関係などの投稿は具体性が伴う可能性があるので注意が必要だろう。特に断定的な口調は影響が大きいため、悪質と判断される可能性が高く危険である。その他の抽象的なものについても、潜在的に「名誉感情の侵害」に当たる可能性をはらんでいる。 | |||
*「人の名誉の毀損」については、愚痴スレではスレ特有の異名や隠語を使うことが多いので同定可能性は低いと思われる。しかしそれらの言葉が外部に拡散されて一般に周知された場合、該当者が容易に特定できるとして名誉毀損となる可能性が高い。つまり愚痴スレネタの外部への持ち出しは厳禁である。 | |||
*「社会通念上許される限度を超える侮辱行為」については、判断基準が曖昧なため一概には言えない。ただし発言を行った場所や頻度、回数、動機などが加味されることを考えると、人目のつく場所で繰り返し発言を行うことは避けたほうがいいだろう。つまり愚痴スレネタの外部への持ち出しは厳禁である。 | |||
*「違法性阻却事由がないこと」については、原告Aや原告会社にそこまで社会的影響力があるとは考えにくいため該当しないと思われる。 | |||
まとめると、 | |||
*名誉毀損については、原告らを同定できるような文面(フルネームをそのまま書く等)でレスをするのは危険である。 | |||
*名誉感情の侵害については、傍から見てあまりにも侮辱的な文面を繰り返しレスをすることは危険である。 | |||
ということになる。おそらく、かつての豚小屋やイベスレで見られたようなネタ(特に[[艦これオンリースレ#タナイチ|タナイチ]])を今持ち出すのはかなり危険だろう。愚痴スレの性質上過激な発言が出るのは避けられないが、やり過ぎないように自制することが大切である。 | |||
=== 肖像権の侵害について === | |||
肖像権を保護する刑法は存在しないものの、日本国憲法第13条「幸福追求に対する国民の権利」を根拠として保証されるべきと考えられており、判例から「他人によってみだりに自身の容貌や姿態を撮影・公開されない権利」と解釈されている。 | |||
肖像権は'''「プライバシー権(人格権)」「パブリシティ権(財産権)」'''の2種類によって構成される。 | |||
*プライバシー権(人格権) | |||
:「本人が公開されたくない私生活上の情報」をみだりに公開されない権利を指す。 | |||
:「私生活上の情報」とは、名前、住所、勤務先・学校名、家族構成、病歴、交際歴、犯罪歴などの個人にまつわる情報のことであり、これらを本人の許諾なく世間に公開した場合はプライバシーの侵害に該当する可能性がある。また、プライベートの写真や動画を無断で世間に公開することもプライバシーの侵害に該当する場合がある。 | |||
*パブリシティ権(財産権) | |||
:芸能人や著名人などのように、顧客誘引力が認められる人物に認められる権利(財産権)を指す。 | |||
:契約をしていない芸能人や著名人の写真を無断で使用した商品・サービスなどを販売した場合、その人のパブリシティ権を侵害したことになる。 | |||
;肖像権の侵害の成立事由 | |||
肖像権の侵害の成立条件は、過去の判例を基に以下のような基準を総合的に考慮し判断される。 | |||
*被写体を特定することができるか | |||
:写っている人物が誰なのかはっきりと判別できる場合、肖像権の侵害となる可能性が高くなる。逆に被写体が小さすぎたり、ピントがボケていた場合は該当する可能性が低くなる。また、モザイク処理などで画像加工をしていた場合も該当しにくくなる。 | |||
*被写体の許可をとっているか | |||
:撮影の際に本人の許可を取らなかった場合、肖像権の侵害となる可能性が高くなる。また許可を得ていたとしても、本人に無断で写真・動画を公開すると肖像権の侵害に該当する場合がある。 | |||
*拡散性が高いか | |||
:SNSなどの不特定多数の人の目につく場所で公開した場合、肖像権の侵害となる可能性が高くなる。特にTwitterやインスタグラムは多くの人の目につくので、尚更侵害と判断される可能性が高くなる。 | |||
*撮影された場所が私的領域かどうか | |||
:自宅、ホテルの個室、病室などの私的空間での撮影は肖像権の侵害が認められやすい。逆に公共施設や道路、公園などの誰でも自由に出入りできる場所での撮影は肖像権の侵害として認められにくい。 | |||
*社会生活上の受忍限度を超えているか | |||
:その無断撮影が本人に我慢させるべきではないほどの過激なものであった場合、肖像権の侵害が認められやすい。受忍限度は被写体の社会的立場が考慮され、例えば警察官を撮影する場合は警察官の方が一般人よりも受忍限度が高いとみなされるため、警察官の仕事を無断撮影しても肖像権の侵害とは認められにくくなる。 | |||
なお、当人の風貌を無断でイラスト化し公表することも肖像権の侵害と判断される可能性がある。この場合の判断基準は「イラストが当人を表したものであると判断できるか」が焦点となり、作者の主観が多く含まれている場合やイラストの出来があまりにも稚拙である場合は肖像権の侵害とは認められにくくなる。 | |||
ここまでを踏まえた上で、愚痴スレにおいて「肖像権の侵害」にどのようなものが該当するのかを考えてみる。 | |||
愚痴スレにおいては、Twitter上に投稿された原告Aやカレー機関の外観の写真、イラストが転載されることがある。<br> | |||
原告Aの写真については、姿がはっきりと見て取れるものは転載であっても肖像権の侵害となる可能性があるため注意が必要である。イラストについても同様で、原告Aの姿に似通っているものは極力転載を避けた方が無難だろう。どうしても愚痴スレに投稿したい場合は画像を加工するか、画像を直接貼らずに掲載されているTwitterアカウントへのリンクを貼るなどの方法を用いると良い。<br> | |||
カレー機関の外観については「建築物には人格権がないので肖像権は存在しない」と判断される。そのため、カレー機関の外観写真を愚痴スレに投稿されたからと言って「肖像権の侵害」で訴訟することはできない。ただし写真そのものには撮影者の著作権が付随しているので、写真の転載は著作権侵害の可能性を常にはらんでいることに注意したい。 | |||
== 裁判資料を読みたい方向け == | |||
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/gameswf/1692313575/796- | |||
0796名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ dbcd-hPrW) | |||
2023/08/21(月) 21:03:30.85ID:rU1q182f0 | |||
お疲れ様です。 | |||
ログボというほどではありませんが朗報(?)です。 | |||
KOK裁判と令和3年(ワ)32074(対BIGLOBE。例の五文字の定義が記載された裁判)についてLEXDBで閲覧が可能になりました。(32074については第一法規のDBでも閲覧可能) | |||
お近くの図書館で読めるかもしれないのでもしよろしければ | |||
(ついでにいうとKOK裁判の裁判所公開部分が情報公開請求における異議申立の根拠として使えるようになった) | |||
0797名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ dbcd-hPrW) | |||
2023/08/21(月) 21:04:11.91ID:rU1q182f0 | |||
検索の際「C2プレパラート」で検索すれば出ると思います。 | |||
0798名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ dbcd-hPrW) | |||
2023/08/21(月) 21:05:09.20ID:rU1q182f0 | |||
ちな32074はT様側が負けたやつ。負けた理由は判例として有益っちゃ有益 | |||
==脚注・出典== | ==脚注・出典== | ||
| 754行目: | 884行目: | ||
[[Category:「神戸かわさき事変」]] | [[Category:「神戸かわさき事変」]] | ||
[[Category:同人イベント]] | [[Category:同人イベント]] | ||
[[Category:2023年の出来事]] | |||
回編集