フェイスマスク事件裁判・判決編
2020年8月16日に神戸市で開催された同人誌即売会「神戸かわさき造船これくしょん7」で発生した「フェイスマスク事件裁判」について、2023年1月26日に下された判決およびその内容を解説するページ。
- 事件そのものの概要についてはこちらのページを参照してください。
- 裁判の時系列や推移に関してはこちらのページを参照してください。
はじめに
2020年8月16日に開催された「神戸かわさき造船これくしょん7」で発生した「フェイスマスク事件」を発端とし、2021年9月頃から始まった裁判を通じて2年半の歳月がかかった本件であるが、2023年1月26日の判決をもってついに決着となった。
C2機関および田中謙介が起こした名誉毀損&肖像権侵害を理由とする初めての民事裁判ということで、艦これ界隈のみならず各方面で話題となった裁判だが、愚痴スレ的には被告(KOK)側の敗訴が濃厚であるとの見方[1]が支配的であり、その上で原告側(C2機関&田中謙介)の請求がどれだけ通るかが注目の的となった。
判決
https://twitter.com/sollamame/status/1640305421754966016
そらまめ@sollamame 「艦これ」同人誌頒布行為について、ゲーム開発運営会社や同社代表者らに対する名誉毀損の成否等が問題となった東京地裁令和5年1月26日判決が公開されています。 https://courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=91953 午後7:51 · 2023年3月27日
正式名称
法曹界では『艦これ性玩具同人誌肖像権侵害事件』という名称になりました。
「著作権が争点ではない」とはっきり名言されています。
https://twitter.com/ootsuka/status/1640483097648173056
行政書士 大塚大@ootsuka 「艦これ」のキャラクターを性玩具に見立てた同人誌を頒布したなどで肖像権、名誉権侵害が認められた事案。艦これ性玩具同人誌肖像権侵害事件 東京地裁令和5.1.26令和3(ワ)11118損害賠償等請求事件(著作権は争点ではありません) ourts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=91953 午前7:37 · 2023年3月28日
判決文
裁判結果詳細:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=91953
以下は判決文に記載されていた内容の解説となる。解説の際に内容が重複したり前後することには留意されたし。
また解説内の単語の意味は下記の通りである。
被告 = KOK(小岡賢治) 原告A = 田中謙介 原告会社 = C2機関 本件ゲーム = 艦これ 本件店舗 = カレー機関 本件マスク = フェイスマスク
請求
訴訟時に原告側から出された賠償請求の内容は以下の通り。
1.被告は、原告Aに対し、660万円及びこれに対する令和2年8月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2.被告は、原告会社に対し、440 万円及びこれに対する令和2年8月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3.被告は、別紙1「広告の要領」記載の要領をもって、別紙2「広告の内容」記10載の謝罪広告を1回掲載せよ。 4.主文第3項及び第4項と同旨 (全文pdf 2ページ目)
金銭面の1100万円の賠償金に加え、謝罪広告の掲載とフェイスマスクに関わる諸々の事項の対処の3点が被告に請求された。
賠償金1100万円については名誉毀損による損害賠償としては法外(一般的に50~100万円が相場のため)であり、別口で発生した可能性がある経済的損失を加味しても全額が通ることはないだろうという見方が愚痴スレではされていた。
また謝罪広告の掲載については、掲載する場所に被告のTwitter垢が指定されていたのだが、裁判の途中で被告の垢が凍結されたためどのような対処がされるのかが注目された。
主文
判決の主文は以下の通り。
1.被告は、原告Aに対し、275万円及びこれに対する令和2年8月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2.被告は、原告会社に対し、165万円及びこれに対する令和2年8月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3.被告は、別紙3被告表示目録記載のマスクを複製又は頒布してはならない。 4.被告は、前項記載のマスク及びこれを作成するために使用したデータを廃棄せよ。 5.原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 6.訴訟費用は、これを5分し、その2を被告の負担とし、その余は原告らの負担とする。 7.この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 (全文pdf 1~2ページ目)
要約すると被告には原告Aに対して275万円、原告会社に対して165万円の計440万円の賠償金を支払うこと、フェイスマスクの頒布と複製の禁止及びそのデータの破棄が言い渡されるという原告側の勝訴判決となった。
賠償額については当初の請求である1100万円と比較すると少額ではあるが、一般的な誹謗中傷裁判における賠償額としては多額と見られる。一方、もう一つの注目点だった「指定する媒体への謝罪広告掲載」については棄却されることになった(理由は後述)。
事案の概要
本裁判の事案の概要については以下の通り(長いので一部省略)。
本件は、育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん-艦これ-」(以下「本件ゲーム」という。)等を開発・運営する原告会社及びその代表者である原告Aが、①被告が、令和2年8月16日、本件ゲームをテーマにした同人誌即売会 (以下「本件即売会」という。)において、原告Aの顔貌を元に作成したお面(以下「本件マスク」という。)を着用し、本件ゲーム内のキャラクター(以下、個別のキャラクターの如何を問わず「本件キャラクター」と総称する。)を性玩具に見立てた内容等の記載された同人誌(以下「本件同人誌」という。)を頒布したことなどが、原告らの名誉を毀損すると共に、原告Aのパブリシティ権、肖像権及び名誉感情を侵害し、また、②被告が、令和2年5月~8月の間に、短文投稿サービス「ツイッター」において行った本件ゲーム等に関する一連の投稿が、原告らの名誉を毀損すると共に、原告Aの肖像権及び名誉感情を侵害する旨を主張して、被告に対し、以下の請求をする事案である。(後略) (全文pdf 2~3ページ目)
要約すると・・・
- ①被告がフェイスマスクを着用して艦これエロ同人誌を頒布した行為が原告Aの肖像権侵害&名誉毀損に当たること
- ②被告が本人のTwitterで投稿した文章が原告側の名誉毀損および原告Aの肖像権侵害&名誉毀損に当たる
・・・これらを理由として起こした裁判である。
また、裁判の争点となった被告の行為の詳細については下記の通り。
Twitterへの投稿 被告は、令和2年5月~同年8月の間、ツイッターにおいて、別紙4投稿目録記載のとおり、本件ゲーム等に関する投稿を行った(以下、これらの一連のツイートを「本件ツイート」ともいう。)。 (全文pdf 4ページ目)
同人誌の頒布行為 本件同人誌は、被告がサークル名「#艦これはみんな仲良く」により本件即売会に参加するにあたり作成した「犯罪撲滅!!地球の安全!合法レイプ実現『海防艦ラブドール』ならアナタの夢、かなう。」と題する 10頁程度の漫画等をその内容とする。その概略は、海防艦を擬人化させた本件キャラクターを、「海防艦ラブドール」という児童型ラブドール(人型の主に男性向け性玩具の一種)に見立て、当該ドールの使用により性欲を発散させることで性犯罪等の犯罪撲滅に資するといったことを内容とするものである。本件キャラクターに関する描写の具体的内容は、別紙5描写目録記載1のとおりである(以下、これらの描写を「本件キャラクター描写」と総称する。)。 また、本件店舗においては、本件キャラクターの衣装を着用した複数の女性をスタッフとして配置し、接客にあたらせているところ、その衣装は、キャバクラその他の風俗店の女性店員のように、極端に肌を露出させた衣装を着用しているわけではなく、スカートの長さも膝丈程度である。また、そこでの接客は、1フロアに20名程度の利用客を入場させ、数名の店員がテーブル越しに接客するスタイルである。店員と利用客は食事を提供するためのテーブルを挟んでおり、利用客から店員の足元は見えづらい構造である。店員が利用客に接近して接客することもない(令和2年春以降は、特に、コロナ禍でもあり、利用客と通常より距離を置いている)。これに対し、本件同人誌末尾の「キャバカレー」と題する4コマ漫画には、別紙5描写目録記載2のとおりの描写がある(以下、これらの描写を「本件店舗描写」と総称する。)。さらに、本件同人誌3頁及び5頁には、それぞれ、原告Aと同定される男性イラスト(以下、前者を「男性イラスト1」、後者を「男性イラスト2」という。)が記載されている。上記各男性イラストに関する描写は、別紙5描写目録記載3のとおりである(以下、これらの描写を「本件男性イラスト描写」と総称する。)。 さらに、本件同人誌10頁のクレジット表記(以下「本件クレジット表記」という。)には、本件同人誌の原作として本件ゲームの名称が表示されているほか、「SPECIAL THANKS」として、原告らの各名称に加え、「TwiFemis」との記載に続いて3つのツイッターアカウントが表示されている。ただし、原告ら及び上記3アカウントの保持者らは、被告による本件同人誌の制作、頒布等に関わっておらず、賛同もしていない(甲146、147)。なお、「TwiFemis」(ツイフェミ)とは、ツイッター上でフェミニズムに関する言動を展開する人々又はその現象を指す俗語・インターネットスラングである。 (全文pdf 4~5ページ目)
フェイスマスクの作成 被告は、原告Aに無断で本件マスクを作成し、本件同人誌に本件マスクの写真を掲載すると共に、本件即売会において、本件マスクを着用しながら本件同人誌を頒布した。 本件マスクは、別紙3被告表示目録記載のとおり、原告Aの顔写真を元に、これをマスクとして着用できるよう、山型に湾曲させて作成したものである(甲4、10)。 本件同人誌8頁には、本件マスクの写真と共に、「本邦初公開!これが【神】のリアルマスクだ―――ッ!」との宣伝文句及び「古来より人は儀式や祭礼に際し、自らに神格を宿すために仮面をまとったという・だとすれば神である(省略)のマスクが作られるのは人間心理の必然的帰結であろう。」との説明文の記載がある。 (全文pdf 5~6ページ目)
Twitterへの投稿については
- ①艦娘の人権等に言及した投稿
- ②艦娘に関する卑猥な投稿
- ③被差別部落等について言及した投稿
- ④カレー機関に関する投稿
- ⑤原告Aの顔写真に関する投稿
- ⑥原告Aに関するその他の投稿
以上の6点が挙げられている。各点の要約は以下の通り。
- 艦娘の人権等に言及した投稿
- 主に海防艦キャラに対して「艦娘は兵器なので人権はない、したがって海防艦ポルノは児童ポルノではない」といった発言やそれを元にした漫画の投稿を行った。
- 艦娘に関する卑猥な投稿
- 艦娘のR-18イラストの投稿を繰り返し行った。
- 被差別部落等について言及した投稿
- 海防艦の第四号のあだ名「よつ」をネタとした同人誌「艦これで学ぶ被部落差別」を作成または頒布しようとした。
- カレー機関に関する投稿
- カレー機関を「キャバカレー」と呼び、同人誌やレポ漫画の作成を匂わせた。
- 原告Aの顔写真に関する投稿
- 原告Aの顔写真を繰り返し投稿、またフェイスマスクを使用した画像のツイートへのリツイート行為。
- 原告Aに関するその他の投稿
- 原告Aをネタとしたツイート(ブロック関係や■■関係など)
同人誌の頒布行為については
- ①同人誌内の本件店舗(カレー機関)の描写が実際の店舗の実情と乖離している点
- ②同人誌内の男性イラストが原告Aと同定されるほど似通っている点
- ③同人誌のクレジット表記に、同人誌とは無関係な原告らの名前やTwitterアカウントを記載した点
が挙げられている。
フェイスマスクの作成については
- ①原告Aに無断でマスクを作成&同人誌内にマスクの写真を掲載した点
- ②即売会でマスクを着用しながら同人誌を頒布した点
が挙げられている。
別紙3被告表示目録、別紙4投稿目録および別紙5描写目録については判決文の添付文書を各自で参照のこと。
名誉毀損や権利侵害に関わる争点
名誉毀損や権利侵害に関わる争点は以下の通りである。順に原告ら・被告の主張と裁判所の判断について解説する。
・本件同人誌の頒布等に関するもの ア.本件同人誌の頒布等による原告らの名誉毀損の成否 イ.本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否 ウ.本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否 ・本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否 ・本件ツイートによる原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否 (全文pdf 6ページ目)
本件同人誌の頒布等による原告らの名誉毀損の成否
被告の同人誌の頒布が、原告らの名誉を毀損しうるのかどうかについてが争点である。
原告らの主張 本件同人誌の内容等は前提事実(3)[2]のとおりであるところ、被告は、本件クレジット表記に、真実に反し、「SPECIAL THANKS」として原告らの名称を表示すると共に、「原作」欄に本件ゲームの名称を表示することにより、あたかも原告らが本件同人誌の制作等に関与し、本件キャラクターを性玩具として扱い、又はそのように扱うことを許容していること等の事実を摘示した。 また、原告Aについては、本件同人誌の制作等に一切関与していないにもかかわらず、本件同人訴の「おまけ4コマ」と題する部分に掲載された「君のidは」とのタイトルの3コマ漫画(以下「本件3コマ漫画」という。)において、「A監督 最新作」との記載により著作者として表示されている。 このような摘示事実は、原告らが、自身の管理する本件ゲームのコンテンツに愛着も敬意も抱いていないといった印象を与えるものであり、原告らの社会的評価を低下させる。 本件キャラクター描写は、本件キャラクターをメインキャラクターとする本件ゲームのコンテンツに対する著しい中傷である。本件即売会は本件ゲームにテーマを限定した同人誌即売会であるところ、原告会社は、独自に作成したガイドライン(以下「本件ガイドライン」という。)に反しない限りで、このようなファン活動に寛容な態度を取ってきた。このため、本件同人誌が本件即売会で頒布されたことは、本件同人誌の作成、頒布等を原告会社が認容しているとの事実を摘示するものである。しかも、本件同人誌には、本件クレジット表記として原告会社の名称が表示されていることをも踏まえると、本件同人誌の内容は、本件キャラクターの中傷に原告会社も関与していた事実を摘示するものである。このような事実は、原告会社が、自己の管理するコンテンツである本件キャラクターに愛着も敬意も抱いていないという印象を与え、原告会社の社会的評価を低下させる。 本件店舗描写は、原告らが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)に違反している可能性のある店舗を営んでいるとの事実を摘示するものである。このような事実は原告らの社会的評価を低下させる。 したがって、被告が本件同人誌を頒布した行為は、原告らそれぞれの名誉を毀損する。 (全文pdf 6~8ページ目)
被告の主張 否認ないし争う。同人誌という媒体の性質、体裁上、一般読者の通常の読み方に従えば、原告らの主張するような読み方は成立しない。すなわち、本件即売会のような同人イベントでの頒布物の内容を著作権者が承認しているという社会通念は存在しない。また、本件クレジット表記はユーモアであり、これを見て、原告らが本件同人誌に対し「特別の感謝」の意を表するような人物であるという印象を受けることはない。 (全文pdf 8ページ目)
同人誌の頒布行為が名誉毀損に値すると主張する原告側の根拠は以下の通り。
- 被告は同人誌の制作に一切無関係だった原告らや艦これの名称をクレジットに表記することで、あたかも原告らが関係者であるかのように扮った。被告の行為は同人誌の内容から「原告らは艦これキャラを性玩具とした扱うことを許容している」「原告らが自身が運営するコンテンツに愛着も敬意も抱いていない」といった印象を与えるものであり、原告らの社会的評価を低下させる。
- 被告が頒布した同人誌内のキャラクター描写は、艦これに対する著しい中傷である。即売会は原告会社のガイドラインに沿った形で運営されており、その即売会で問題の同人誌が頒布されることは、その同人誌の作成・頒布を原告会社が認容していると捉えられかねない。また同人誌に原告会社の名称がクレジット表記されていることは、キャラクターの中傷に原告会社が関与していたという誤解を与えるものである。
- 同人誌内のカレー機関の描写は、原告らが風営法に違反している可能性がある店舗を営んでいるという誤解を与えるものである。
対して被告側の反論は以下の通り。
- 常識的な読み方に従えば、名誉毀損に当たるような読み方は成立しない。よって同人誌の(名誉毀損に当たるような)内容を著作権者(C2機関)が容認しているという考えも成立しない。
- クレジット表記はユーモアの範疇であり、原告らが同人誌の関係者であるという印象を読者が受けることはない。
原告側の主張で注目すべき点は、被告の同人誌の内容が「原告らは艦これキャラを性玩具とした扱うことを許容している」「原告らが自身が運営するコンテンツに愛着も敬意も抱いていない」と言った印象を受けるから名誉毀損に当たる、としている所だろう。前者の主張をそのまま受け取るならば、逆説的に「原告らは艦これキャラを性玩具として扱うことを許容していない」と捉えることができ、他のR-18艦これ同人誌は問題にならないのか?と言った疑問が生まれてくる。後者の主張については、往年の公式によるキャラの扱い(那珂ちゃん解体セット、赤城の大食いキャラ&の行き遅れネタの公式化など)を見れば嘘と言いたいところだが、これらの行いが「愛着も敬意も抱いていない」と断定するに足るのかは不明のためここでは一旦保留とする。
裁判所の判断 本件同人誌には、前提事実(3)[3]のとおりの記載がある。また、甲15及び弁論の全趣旨によれば、原告会社は、本件ゲームに係る同人誌やイラスト、漫画、小説等の一般慣例的な「同人活動」について、公序良俗に反するもの、ゲームシステムのあるもの、ゲーム内の音源又は画像を使用したもの、関係者及び関係会社に迷惑を与えるもの以外は基本的に許容する旨の二次創作ガイドライン(本件ガイドライン)をツイッター上で公表していることが認められる。他方、本件同人誌には、原告らが本件同人誌の制作等に関与したことないしその内容を許容していることを示す明示的な事実の摘示はない。もっとも、本件クレジット表記には、「SPECIAL THANKS」として原告らの名称が表示されると共に、「原作」欄に本件ゲームの名称が表示されている。 【検討】 本件同人誌は、本件ゲームの愛好者向け同人誌即売会である本件即売会において販売された同人誌である。その内容も、本件ゲームそれ自体とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱うなどの本件キャラクター描写のような卑猥なイラストやストーリーを含む漫画を主な内容とし、全体としては、本件ゲームないし本件キャラクターを揶揄する趣旨も含むものと理解される。しかも、本件同人誌は、随所に原告A個人を揶揄する趣旨のものと理解されるイラストや文言による描写をも含む。本件クレジット表記に「TwiFemis」とし 3つのツイッターアカウントが挙げられているところ、この語がツイッター上でフェミニズムに関する言動を展開する人々又はその現象を指すインターネットスラングであることに鑑みても、本件同人誌は、本件クレジット表記に表記された者を揶揄する趣旨を強く含むものであることがうかがわれる。 このような本件同人誌の性質及び内容に鑑みると、一般的な読者の注意と読み方を基準とした場合に、本件ゲームの制作者である原告らが本件同人誌の制作に協力したと理解されるとは考え難く、また、本件ゲームの設定が本件同人誌の内容に沿うものと理解されるともいい難い。 しかし、他方で、本件ガイドラインの内容がやや抽象的なものであり、本件ゲームに係る二次創作作品が本件ガイドラインにより許容される範囲が必ずしも明確でないことを併せ考慮すると、上記基準によっても、本件同人誌の頒布という行為それ自体をもって、このような内容の二次創作作品が本件ガイドラインにより許容される範囲内に含まれ、許容されるものであるという判断を原告会社が行ったという事実を摘示するものと理解されることは合理的にあり得る。しかも、「SPECIAL THANKS」として本件クレジット表記に原告らの名称が明記され、原作として本件ゲームの名称が記されていることは、このような理解を強めるものといえる。 この場合、原告会社は、自ら管理するコンテンツである本件キャラクターに対する愛着や敬意の乏しい企業として、その社会的評価が低下すると見るのが相当である。また、原告Aについても、本件ゲームのプロデューサーとして本件ゲームのユーザーの間では著名な人物であることなどに鑑みると、原告会社とは別に個人としての社会的評価が同様に低下すると見られる。このことは、本件店舗描写に関しても同様である。 【小括】 以上の事情に鑑みると、一般的な読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件キャラクターに対する卑猥な描写をその内容とすると共に、クレジット表記に「SPECIAL THANKS」と付して原告らの名称等を記載した本件同人誌を頒布する行為及び本件店舗描写は、原告らそれぞれの名誉を毀損するものといえる。これに反する被告の主張は採用できない。 (全文pdf 16~18ページ目)
裁判所の判断は上記の通りである。まず裁判所は前提事実として以下の点を挙げている。
- 原告会社は二次創作ガイドラインをTwitterで公表している。
- 原告らが被告の同人誌の制作に関与している、あるいは内容を許容している明示的事実はない。
- 他方で同人誌のクレジット表記には「SPECIAL THANKS」として原告らの名称が表示されており、また「原作」欄には艦これの名称が表示されている。
その上で裁判所は名誉毀損の成否に関する検討を行い、初めに以下のような判断をした。
- 被告の同人誌は艦これキャラを性玩具として扱うような描写(卑猥なイラストやストーリー)があり、ゲームやキャラクターを揶揄する趣旨を含んでいる。
- 加えて同人誌は原告A個人を揶揄するような描写(イラストや文言)をも含んでいる。更にはクレジット表記の「TwiFemis」を揶揄する趣旨を強く含んでいる。
- 以上のことから被告の同人誌の性質と内容を考えると、一般的な読者の注意と読み方を基準とした場合、原告らが同人誌の制作協力した&同人誌がゲームの内容に沿っていると理解されるとは考えにくい。
つまり「同人誌の内容があまりにもアレであるため、一般読者が見てもそれをそのまま真に受けることはない」と判断したということである。これにより被告側の「一般読者が見ても原告らの名誉毀損に当たる解釈は成立しない」「クレジット表記はユーモアであり、原告らが同人誌の制作に関与したと解釈されることはない」という主張が通るかと思われたが、裁判所は別口から以下のような判断も行っている。
- ガイドラインがやや抽象的であることを考えると、被告の同人誌を頒布する行為自体がガイドラインに許容される(=原告会社が許容している)と理解される可能性がある。
- 加えて「SPECIAL THANKS」として原告らの名称が明記され、原作として艦これが記されていることは上記の理解を強める可能性がある。
- もし上記の理解がされた場合、原告会社は艦これやそのキャラクターに対する愛着や敬意の乏しい企業として社会的評価が低下する。
- また原告Aについても、ゲームユーザー間では著名な人物であることを考えると個人としての社会的評価が低下する。これはカレー機関についても同様である。
つまり「ガイドラインがそもそも曖昧なため、被告の同人誌を頒布すること自体が原告らの名誉毀損に繋がる可能性がある」ということである。雑なガイドラインが状況を覆す驚愕の展開。
これにより裁判所は原告側の「同人誌の頒布は名誉毀損に当たる」という主張を認め、被告側の主張を退けることになった。
本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aのパブリシティ権侵害の成否
被告がフェイスマスクをして同人誌を配布した行為が、原告Aのパブリシティ権を侵害したのかについてが争点である。
原告Aの主張 個人は、人格権に由来する権利として、その氏名、肖像等をみだりに利用されない権利を有する。肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合、その顧客吸引力を排他的に利用する権利であるパブリシティ権も、この人格権に由来する権利に含まれる。具体的には「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に」違法なパブリシティ権侵害となり、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合、③肖像等を商品等の広告として使用する場合がこれに当たる。 本件において、被告は、原告Aの顔写真を、実際の人物の顔と同等以上の大きさのマスクに使用し、このマスク(本件マスク)を着用しながら、本件マスクを掲載すると共に本件3コマ漫画において原告Aの氏名を無断で使用し、同漫画の著作者として表示した本件同人誌を本件即売会において頒布した。これは、上記①~③のいずれの場合にも該当する。 したがって、被告の上記行為は、原告Aのパブリシティ権を侵害する。 (全文pdf 8~9ページ目)
被告の主張 否認ないし争う。被告は、本件マスク自体は販売していない。また、原告Aの肖像には顧客吸引力が認められるほどの周知性はない。このため、本件マスクを被った人物は人目を引いたかもしれないが、これを広告として利用したとはいえない。 (全文pdf 9ページ目)
被告がフェイスマスクをして同人誌を配布した行為がパブリシティ権侵害に値すると主張する原告A側の根拠は以下の通り。
- 個人は自身の肖像等をみだりに利用されない権利を有し、肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合はパブリシティ権が発生する。
- 被告が原告Aの顔写真をフェイスマスクに使用したこと、同人誌にフェイスマスクを掲載し3コマ漫画に原告Aの氏名を無断で使用したこと、原告Aを3コマ漫画の著作者として表示したこと、その同人誌をフェイスマスクを着用しながら頒布したことは原告Aのパブリシティ権を侵害する。
対して被告側の反論は以下の通り。
- 被告はフェイスマスクを販売しておらず、原告Aの肖像にも顧客吸引力が認められるほどの周知性はない。フェイスマスクを被った被告は人目は引いたかもしれないが、広告として利用したとは言い難い。よってパブリシティ権の侵害には当たらない。
パブリシティ権とは、端的に言うと「自身の肖像に顧客吸引力がある場合、それを独占して使用できる権利」のことである。この権利を持つ人物の肖像を「無断で使用」かつ「顧客吸引力の利用を目的として使用」するとパブリシティ権の侵害として処罰されることになる。パブリシティ権の有無は本人の周知性(世間一般に周知されているか)が重要であるため、原告Aの名が知れ渡っているかどうかが争点となる。また原告Aのパブリシティ権が認められたとして、次は被告の行為がパブリシティ権の侵害に当たるのかが争点となる。
裁判所の判断 原告Aは、被告が本件マスクを着用しながら本件同人誌を頒布した行為及び本件同人誌に本件マスクの写真を掲載した行為につき、原告Aのパブリシティ権侵害を主張する。 肖像等を無断で使用する行為については、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となる(最高裁判所平成24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。 本件の場合、そもそも、原告Aが本件ゲームの愛好者等の間で著名であるとしても、そのことから直ちに同原告の肖像等に顧客吸引力があることにはならないところ、この点について、同原告は何ら具体的な主張立証をしない。 この点を措くとしても、本件マスクは、原告Aの写真を顔面に着用できるように山型に湾曲させただけの粗雑な作りのものにすぎない。そのため、本件マスクやこれを撮影した写真は、同原告の肖像の写真(甲10)とは相応に異なる印象を与えるものであり、同原告の肖像それ自体を独立して鑑賞の対象とする目的で作成されたものとはいい難い。また、本件同人誌における本件マスクの写真は全10頁程度のうちの8頁目にのみ掲載されている(甲5)。しかも、同頁の本件マスクの写真は、「本邦初公開!これが【神】のリアルマスクだ―――ッ!」との宣伝文句と共に、「古来より人は儀式や祭礼に際し、自らに神格を宿すために仮面をまとったという・だとすれば神である(省略)のマスクが作られるのは人間心理の必然的帰結であろう。」との説明文の記載と共に掲載されており、これらは、本件同人誌の本編である漫画の内容と直接的には無関係に、主に原告Aを揶揄する文脈で掲載されているものと理解される。これを踏まえると、本件即売会での本件同人誌の頒布にあたり被告が本件マスクを着用していた点についても、同様に原告Aを揶揄する趣旨で行われたものと理解するのが相当である。 また、本件3コマ漫画における原告Aの氏名は、その素材となった別作品の宣伝用画像(甲148)の構図に擬して作成した最終コマに表示されたものであり、著作者として表示されたものとは理解し得ないと共に、当該コマの上部に小さく配置されているに過ぎないこともあって、原告Aの氏名の顧客吸引力の利用を目的としたものとはいい難い。 そうすると、本件マスクの写真の掲載及び本件即売会での本件同人誌頒布時における着用並びに本件3コマ漫画の氏名の記載は、上記①~③のいずれにも当たらず、その他専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に当たるとは認めるに足りない。 したがって、これらの行為は原告Aのパブリシティ権を侵害する違法なものとはいえない。この点に関する原告Aの主張は採用できない。 (全文pdf 18~19ページ目)
裁判所の判断は上記の通りである。裁判所はまず初めにパブリシティ権侵害の判例を挙げた上で次のように判断している。
- 原告Aが艦これの愛好者の間で著名であったとしても、それが原告Aの肖像等に顧客誘引力があることにはならない。また、原告Aは自身の肖像にパブリシティ権があることを示す具体的な主張をしていない。
- フェイスマスクは原告Aの写真を加工した粗雑な作り物である。そのためフェイスマスクは実際の原告Aの肖像とは乖離しており、したがって原告Aの肖像を独立して鑑賞する目的として作られたとは言い難い。
- フェイスマスクの写真は同人誌の1ページに掲載されているのみである。またフェイスマスクの写真は宣伝文句&説明文と共に掲載されているが、これは同人誌の本編とは無関係に原告Aを揶揄するためだけに掲載されていると理解される。これについては、被告がフェイスマスクを着用して同人誌を頒布した行為にも同じことが言える。したがって、商品の差別化を図る目的で原告Aの肖像を利用したとは言い難い。
- 同人誌内の3コマ漫画に記載されている原告Aの氏名は最終コマに表示されており、これだけでは著作者として表示されたものとは理解されない。またコマの上部に小さく表示されているにすぎないため、原告Aの氏名を顧客吸引力を目的として使用したとは言い難い。
- 上記のことから、被告の行為だけでは原告Aの肖像ないし氏名を顧客吸引力を目的として使用したと認めるには足りない。
裁判所は「艦これ界隈で有名であるからと言ってパブリシティ権が認められるわけではない」と前置きしつつ、大きく3点に分けて被告のパブリシティ権侵害を否定できる理由を述べている。ただし裁判所は「認めるに足りない」と表現しているため、被告がこれ以上の行為(フェイスマスクを精巧に作るなど)を行っていた場合は判断が覆る可能性もあったと思われる。
以上のことから、裁判所は原告Aの主張を退けることになった。
本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等による原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否
被告がフェイスマスクをして同人誌を配布した行為が、原告Aの肖像権及び名誉感情を侵害したのかについてが争点である。
原告Aの主張 【肖像権の侵害】 被告は、本件マスクを着用すると共に、その写真が掲載された本件同人誌を頒布した。当該掲載ページの記載内容に加え、本件同人誌が全体として原告A及び本件ゲームを誹謗中傷する内容であることから、被告は、悪意をもって同原告の顔貌をマスクに使用したといえる。 したがって、被告が、本件マスクの写真を撮影し、本件同人誌に掲載した行為、及び本件即売会において本件マスクを着用の上、本件同人誌を頒布した行為は、原告Aの肖像権を侵害する。 【名誉感情の侵害】 《本件同人誌の頒布、本件マスクの着用等》 上記のとおり、被告は、悪意をもって原告Aの顔貌を本件マスクに使用したものであり、一般の注意と捉え方からすれば、同原告の人格権侵害に値するほどに同原告の社会的評価を低下させるものである。 したがって、被告の上記行為は、原告Aの名誉感情を侵害する。 また、本件店舗描写の4コマ目記載の描写(別紙5描写目録記載2)も、原告Aの名誉感情を侵害するものである。 《本件男性イラストの描写》 原告Aを描写したものと見られる男性イラスト1の発言の描写(別紙5描写目録記載3(1))は、一般の読者の注意と読み方において、同原告が、幼女をレイプしたいとの願望を有し、当該願望を抑えるため、代わりにオナホ(女性器の形状を模した性玩具の一種の名称の略語)を使用しているが、これを使い尽くすほど性欲の強い人物であると理解されるものである。 また、原告Aを描写したものと見られる男性イラスト2について、当該人物を「勃起豚」と呼ぶ記載(別紙5描写目録記載3(2))があるところ、「勃起豚」とは、性的に興奮した状態を維持している太った人物を意味する。原告Aを「勃起豚」と称することは、原告Aが太った性欲の塊のような人物であることを示すものである。しかも、本件同人誌は、原告Aを「勃起豚」と揶揄するのみならず、男性器が勃起しているようなイラスト(男性イラスト2)で表現しており、原告Aを根拠なく「幼女を連れまわしている」人物であり、幼女に興奮して勃起する人物であるように描いている。 以上の被告の行為は、いずれも原告Aの名誉感情を侵害する。 (全文pdf 9~10ページ目)
被告の主張 否認ないし争う。同人誌という媒体の性質、体裁上、一般読者の通常の読み方に従えば、指摘されるような読み方は成立しない。 (全文pdf 10ページ目)
原告A側は「肖像権の侵害」「名誉感情の侵害」とそれぞれに分けて根拠を主張している。
- 同人誌の内容(原告A及び艦これへの誹謗中傷)を鑑みるに、被告が悪意を持ってフェイスマスクを使用したと言える。したがって被告の行為は原告Aの肖像権を侵害している。
- 上記の通り被告は悪意を持ってフェイスマスクを使用しており、被告の行為は一般的な捉え方をすると原告Aの人格権侵害に値するほどに社会的評価を低下させるものである。これに同人誌内のカレー機関の描写も合わせて、原告Aの名誉感情を侵害している。
- 同人誌内の原告Aを模した男性イラストの発言は、一般読者に「原告Aが少女レ○プ願望を有しており、それを抑えるためにオ○ホを使用しているが、それを使い尽くすほど性欲が強い人物である」という印象を抱かせるものであり、原告Aの名誉感情を侵害している。
- また同人誌内の原告Aを模した男性イラストを「■■■(性的に興奮した状態を維持している太った人物を意味する)」と呼ぶ記載は、原告Aが「太った性欲の塊のような人物」であることを示すものである。加えて原告Aを男性器が■■しているようなイラストで表現しており、原告Aを「根拠なく幼女を連れ回し、幼女の興奮して■■する人物」であるかのように描いている。これらはいずれも、原告Aの名誉感情を侵害している。
対して被告側の反論は以下の通り。
- 同人誌という性質上、一般的な読み方に従えば、原告Aが指摘するような読み方は成立しない。
同人誌の頒布行為に加え、同人誌内の描写が原告Aの名誉感情を侵害しているかが焦点。被告は原告Aを模した男性キャラを「■■■」と呼ぶことや、男性キャラに幼女を前にして■■させるなどかなり具体的かつ生々しい描写で表現しているため、被告側の反論は難しい。だから主張が殆ど無いんだろうし。
裁判所の判断 【肖像権侵害の成否】 人はみだりに自己の容貌、姿態を撮影されないことについて法律上保護されるべき人格的利益を有するところ、ある者の容貌、姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合的に考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決せられる(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁参照)。撮影された写真が雑誌等に掲載されるなどして公開された場合も、同様の判断枠組みが妥当すると考えられる。 前記2のとおり、本件マスクは、原告Aの写真を粗雑な方法で加工したものであり、原告Aの肖像の写真(甲10)とは相応に異なる印象を与えるものではある。しかし、本件同人誌では本件マスクが原告Aの「リアルマスク」と紹介されていること、原告Aが本件ゲームの愛好者等の間で著名であること等の事情に照らすと、被告が本件マスクの写真が掲載された本件同人誌を本件マスクを着用しながら頒布した行為は、原告Aの写真を無断で公開した場合と同様に理解することができる。また、本件同人誌の内容、とりわけ本件マスクの紹介の仕方等に照らすと、被告は、専ら原告Aを揶揄する目的で本件マスクを作成し、これを着用の上、その写真を掲載した本件同人誌を頒布したといえる。 以上のような写真の使用目的及び使用態様等に照らすと、本件マスクに係る被告の各行為は、自己の容貌等の写真をみだりに公開されないことについての原告Aの人格的利益を侵害し、その侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものというべきであり、不法行為法上違法と認めるのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 【名誉感情の侵害】 前記のとおり、被告は、専ら原告Aを揶揄する目的で本件マスクを作成し、これを着用の上、本件即売会にて本件同人誌を頒布した。加えて、本件同人誌には、原告Aと同定される男性イラストに係る本件男性イラスト描写が掲載されている(前提事実(3))。また、本件店舗描写についても、本件同人誌の他の記載と合わせると、「(省略)」などの記載は原告Aを指すことが明確に理解される。 このような被告の行為は、原告Aに対する社会通念上許される限度を超える侮辱行為であり、原告Aの人格的利益(名誉感情)を侵害する違法なものとして、不法行為に当たるとするのが相当である。これに反する被告の主張は採用できない。 (全文pdf 19~21ページ目)
裁判所は「肖像権侵害の成否」「名誉感情の侵害」とそれぞれ分けて判断した。
まず初めに「肖像権侵害の成否」について、肖像権侵害の判例を挙げた上で以下のように論じている。
- フェイスマスクは原告Aの写真を粗雑に加工したものであり、実際の原告Aの肖像とは乖離している。しかし同人誌内で原告Aの「リアルマスク」として紹介されていること、原告Aが艦これの愛好者の間で著名であることを鑑みると、被告の行為は原告Aの写真を無断で公開した場合と同等であるとみなすことができる。
- また同人誌内でのフェイスマスクの紹介から、被告は原告Aを揶揄する目的でフェイスマスクを作成・着用し、同人誌を頒布したと言える。
- よって上記のことから被告の行為は肖像権を侵害しており、その侵害が社会生活で受忍できる限度を超えていると見なすことができる。
次に「名誉感情の侵害」について以下のように論じている。
- 同人誌内では原告Aを模した男性イラスト掲載されており、カレー機関を描写する中での記載(「■■■」など)が原告Aを指すことは明らかである。
- これらの描写は原告Aに対する社会通念上許される限度を超えた侮辱行為であり、原告Aの名誉感情を侵害していると言える。
上記を理由として裁判所は原告Aの主張を全面的に支持し、被告側の主張を退けた。まぁ、そうなるな。
ただしここでの判断は同人誌内での描写に対するものであり、匿名掲示板やSNS等で同じ行為を行った場合においてもそのまま適用されるとは限らない点に注意(SNSに関しては後の争点で判断がされている)。
本件ツイートによる原告らの名誉毀損の成否
被告がTwitterで投稿したツイートが、原告らの名誉を毀損しうるのかについてが争点である。
原告らの主張 【本件キャラクターには人権がないとの投稿】 被告は、別紙4投稿目録(1)のとおり、「艦娘は兵器なので、人権がない」との言及を繰り返している。また、これらの投稿には、その投稿内容に沿うものとして被告がイラスト画像を添付したものがあるところ、これらのイラストは、いずれも本件ゲームの二次創作であり、本件キャラクターを改変した描写である。 これらの投稿は、一般の読者の注意と読み方からすれば、本件キャラクターが、身体拘束を加えられ、解体されて廃棄処分にされる等の扱いを受けても問題のないキャラクターであるとの印象を与えるものである。本件キャラクターは、本件ゲームの設定上「人」として描写されており、上記のような扱いを受け得る存在ではないにもかかわらず、被告の投稿は断定的であり、本件キャラクターが当初からそのようなキャラクター像として設定されていたかのような表現を用いている。このため、これらの投稿は、被告の描写する本件キャラクター像こそが原告会社によって設定されたものであり、原告会社が当該投稿を許容しているとの事実を摘示するものと理解される。 このような事実は、原告会社が、自ら展開する本件キャラクターを単なるコンテンツ上の道具という程度にしか扱わず、敬意も愛着も有していないといった印象を与えるものであり、原告会社の社会的評価を低下させる。 したがって、被告の上記行為は、原告会社の名誉を毀損する。 【本件キャラクターに関する卑猥な表現】 被告は、別紙4投稿目録(2)のとおり、本件キャラクターを凌辱の対象として表現した。これらの投稿は、一般の読者の注意と読み方からすれば、本件キャラクターを男性の性的欲求のはけ口として扱うものである。本件キャラクターは、本件ゲームの設定上、戦艦を擬「人」化したものであり、被告が描写したような取扱いを受けるような存在ではないにもかかわらず、被告の投稿は断定的であり、本件キャラクターが当初からそのようなキャラクター像として設定されていたかのような表現を用いている。このため、これらの投稿は、被告の描写する本件キャラクター像こそが原告会社によって設定されたものであり、原告会社が当該投稿を許容しているとの事実を摘示するものと理解される。 このような事実は、原告会社が、自ら展開する本件キャラクターを単なるコンテンツ上の道具という程度にしか扱わず、敬意も愛着も有していないといった印象を与えるものであり、原告会社の社会的評価を低下させる。 したがって、被告の上記行為は、原告会社の名誉を毀損する。 【原告らが被差別部落への差別を助長しているかのような投稿】 被告は、別紙4投稿目録(3)のとおり、「四号」と呼ばれる本件ゲームの「第四号海防艦」というキャラクターのイラストと共に「よつ」と記載している。上記キャラクターは自称「よつ」と名乗っているものの、これは単に「四号」という名称に由来するものである。しかし、被告の上記投稿では、「よつ」との表記があたかも被差別部落に関する差別用語として使われているように解釈され、ひいては、本件ゲームが被差別部落に関与しているかのように理解される。 また、被告のツイートには本件ゲームと台湾問題とを関連付けるかのようなものもあるが、原告らは本件ゲームをこのような関連付けにより展開していない。 これらの投稿は、原告らが本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示することにより、原告らの社会的評価を低下させるものである。 したがって、被告の上記行為は、原告らの名誉を毀損する。 【本件店舗に関する誹謗中傷】 被告は、別紙4投稿目録(4)のとおり、本件店舗について投稿し、本件店舗を「キャバカレー」、「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」と、あたかもキャバクラまがいの風俗店であるかのように揶揄した。このような記載は、本件店舗を訪れたことのない者に対し、本件店舗につきキャバクラまがいの店舗であるとの誤解を与える。 また、その投稿には、本件店舗の運営が風営法違反に当たり、逮捕者(容疑者が原告Aであることを推認させる記載を含む。)が出ているとの記載も存在する。このような事実は、原告らが法令に違反した店舗を経営しているという印象を与えるものであり、原告らの社会的評価を低下させる。 したがって、被告の上記行為は、原告らの名誉を毀損する。 (全文pdf 10~13ページ目)
被告の主張 否認ないし争う。一般読者の通常の読み方からして、被告が原告ら主張に係る事実を摘示したとはいえず、また、これにより原告らの社会的評価が低下したともいえない。 (全文pdf 13ページ目)
原告側は被告の投稿について大きく4点に分けて名誉毀損の根拠を主張している。順に見ていこう。
まず初めに「本件キャラクターには人権がないとの投稿」について、以下のように主張している。
- 被告の「艦娘は兵器なので、人権がない」という発言ないしそれに付属するイラストのツイートは、その描写から一般読者に「艦娘は拘束・解体・廃棄処分等の扱いを受けても問題ない」という印象を与えるものである。
- ゲームの設定上では艦娘は「人」として描写されており、上記のような扱いを受け得る存在ではない。しかし被告のツイートにおける艦娘の描写は断定的であり、艦娘は当初からそのような扱いを受け得る存在として設定されていたかのような表現を用いている。
- 被告のツイートは、被告のツイートの中で描写されている艦娘の扱いが原告会社の設定したものであり、また原告会社が被告のツイートを許容していると一般読者に判断される。
- よって被告のツイートは「原告会社は艦娘を単なるコンテンツ上の道具としか思っておらず、敬意も愛着も抱いていない」といった印象を与えるものであり、原告会社の名誉を毀損している。
次に「本件キャラクターに関する卑猥な表現」について、以下のように主張している。
- 被告はツイートの中で艦娘を凌辱対象として表現しており、一般読者の視点では艦娘を男性の性欲のはけ口として扱っている。
- ゲームの設定上では艦娘は戦艦を擬「人」化したものであり、上記のような扱いを受け得る存在ではない。しかし被告のツイートにおける艦娘の描写は断定的であり、艦娘は当初からそのような扱いを受け得る存在として設定されていたかのような表現を用いている。
- 被告のツイートは、被告のツイートの中で描写されている艦娘の扱いが原告会社の設定したものであり、また原告会社が被告のツイートを許容していると判断される。
- よって被告のツイートは「原告会社は艦娘を単なるコンテンツ上の道具としか思っておらず、敬意も愛着も抱いていない」といった印象を与えるものであり、原告会社の名誉を毀損している。
要約すると「被告の艦娘に関する侮辱的&凌辱的なツイートは、原告会社も被告と同様に艦娘を扱っているという印象を与えるので名誉毀損に当たる」ということである。被告のツイートが実際にどのようなものであったのかについては添付資料を参考にして欲しいが、被告はツイートの中で原告会社の名前を用いておらず、艦娘の設定が被告が描写しているものと同様であると主張しているわけでもない。したがって、この2点については原告側の主張が通るとは考えにくい。
次に「原告らが被差別部落への差別を助長しているかのような投稿」について、以下のように主張している。
- 艦娘である「第四号海防艦」が名乗っている自称「よつ」は、単に「四号」に由来するものである。
- しかし被告はツイートの中で、「よつ」が被差別部落に関する差別用語であり、ひいては艦これが被差別部落に関与しているかのような表現を用いている。
- また被告はツイートの中で、艦これが台湾問題と関連付いているかのような表現を用いているが、原告らは艦これを台湾問題に関連付けて展開していない。
- よって被告のツイートは「原告らは艦これと被差別部落問題&台湾問題を、意図を持って関連付けて制作・展開している」といった印象を与えるものであり、原告らの名誉を毀損している。
「第四号海防艦」が自称している「よつ」に関する問題である。原告側の主張を要約すると「被告のツイートは、原告らが意図的に被部落差別問題や台湾問題を艦これのネタとして扱っているという印象を与えるので名誉毀損に当たる」ということである。ここで注意するべき点は、原告側の名誉毀損の根拠は「原告らが意図的に行っているという印象を与えるから」としていることだろう。つまり例えば「原告らの不注意で差別用語が見逃された」と揶揄した場合において、それが名誉毀損に当たるかどうかについては対象外ということである[4]。
最後に「本件店舗に関する誹謗中傷」について、以下のように主張している。
- 被告はツイートの中で、カレー機関を「キャバカレー」「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」とあたかもキャバクラ紛いの風俗店であるかのように揶揄した。これはカレー機関を訪れたことがない者に対し、カレー機関がキャバクラ紛いの店舗であるとの誤解を与えるものである。
- また被告はツイートの中で、「カレー機関が風営法に違反し逮捕者を出している」記載し、更にその容疑者が原告Aであると推測できるような記載を行っている。
- よって被告のツイートは「原告らが法令に違反した店舗を経営している」といった印象を与えるものであり、原告らの名誉を毀損している。
ツイッター上でカレー機関を「キャバカレー」と揶揄することが、原告らの名誉を毀損しているのかが争点である。しかしここでは「キャバカレー」と揶揄することより、「原告Aが風営法違反の疑いで逮捕された」というデマのほうが重要だろう。SNSによるデマの拡散は場合によっては逮捕にも結びつくため、被告側にとってはかなり不利な争点である。
裁判所の判断 【本件店舗に関する投稿について】 被告は、別紙4投稿目録(4)のとおり、原告会社の運営する本件店舗を「キャバカレー」、「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」などと呼んだ上、「キャバカレー」が違法風俗店として摘発され、セクキャバ「キャバカレー」経営者である「(省略)」が風営法違反の疑いで逮捕されたという内容の画像を、実在するニュース映像風の画像のように表現して投稿した(前提事実(2)ア)。 一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば、被告の上記各投稿は、原告会社の経営する本件店舗が「違法風俗店」として捜査機関により摘発され、原告Aと同定される者が風営法違反の疑いで逮捕されたという事実を摘示したものと理解される。これにより、上記各投稿は、これを閲覧した者において、原告らが違法な風俗店を経営し、その代表者である原告Aが逮捕されたという印象を与えるものであって、原告らの社会的評価をいずれも低下させるものといえる。 したがって、被告の上記各投稿は、原告らそれぞれの名誉を毀損するものであり、原告らに対する不法行為に当たると認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 【原告らのその余の主張について】 《本件キャラクターの人権等に言及した投稿について》 原告会社は、被告が、別紙4投稿目録(1)の各投稿により、本件キャラクターに人権がなく、身体拘束されて解体されても問題がないというキャラクター像を原告会社が設定し、被告の投稿を許容しているという事実を摘示し、原告会社の社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、投稿先であるツイッターという投稿サービスの性質等をも踏まえて考えると、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、いずれも本件キャラクター等に関する卑猥な妄想や冷笑的な捉え方といった被告個人の考えやこれを具現化したイラスト画像を投稿したと理解されるものであり、本件キャラクターにつき原告会社がこのような考えに沿うキャラクター像を当初から設定していたとか、当該投稿を許容しているといった事実を摘示するものとは必ずしも理解し得ない。 したがって、この点に関する原告会社の主張は採用できない。 《本件キャラクターに関する卑猥な投稿について》 原告会社は、被告が、別紙4投稿目録(2)の各投稿により、原告会社が本件キャラクターを凌辱の対象、男性の性的欲求のはけ口として扱うというキャラクター像として設定し、被告の投稿を許容しているという事実を摘示し、原告会社の社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、上記アと同様に、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、本件キャラクターを素材とする被告作成の卑猥なイラスト画像をそのタイトル等と共に紹介したものと理解されるにとどまり、本件キャラクターにつき原告会社がこのような画像等に沿う内容のキャラクター像を当初から設定していたとか、当該投稿を許容しているといった事実を摘示するものとは必ずしも理解し得ない。 したがって、この点に関する原告会社の主張は採用できない。 《被差別部落等に言及した投稿について》 原告らは、被告が、別紙4投稿目録(3)の各投稿により、原告らが、本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開すると共に、台湾問題と関連付けている等の事実を摘示して、原告らの社会的評価を低下させた旨を主張する。 しかし、一般の閲覧者の普通の注意と読み方によれば、被告の上記各投稿は、本件同人誌その他被告又は被告の所属するサークルにおいて作成する同人誌において、被差別部落に対する差別用語とも理解し得る表現が使用されていることを奇貨として、同人誌等の認知度向上や原告Aを揶揄することを図ったものと理解されるのであって、原告会社が本件ゲームを被差別部落問題に関連付ける意図をもって制作・展開し、又は台湾問題と関連付けているといった事実を摘示するものとは理解し得ない。 したがって、この点に関する原告らの主張は採用できない。 (全文pdf 21~23ページ目)
裁判所は「カレー機関に関係する投稿」とその他の2点に分けて判断した。
まず初めに「カレー機関に関係する投稿」について、以下のように論じている。
- 被告は原告会社が運営するカレー機関を「キャバカレー」「派遣型風俗キャバカ〇ー機関」などと呼んだ上、「キャバカレー」が違法風俗店として摘発され、その経営者である原告Aと推測される人物が風営法違反の疑いで逮捕されたという内容の画像をニュース風に表現してツイートした。
- 一般閲覧者から見れば、被告のツイートはカレー機関が「違法風俗店」として摘発され、経営者である原告Aと同定される人物が風営法違反の疑いで逮捕されたと理解できるものである。
- よって被告のツイートは閲覧者に対し「原告らが違法な風俗店を経営し、その代表者である原告Aが逮捕された」という印象を与えるものであり、原告らの名誉を毀損していると認められる。
裁判所は被告のツイートが原告らの名誉を毀損していると認め、被告側の主張を退けた。
ここで注意するべきは、裁判所が名誉毀損と認めたのは「カレー機関をキャバカレーと呼ぶツイート」と「キャバカレーが摘発され原告Aが逮捕されたとするツイート」を同時に行った場合におけるものであるという点である。前者のみあるいは後者のみのツイートであった場合において、名誉毀損に当たるのかについては裁判所は判断していない。無論これは「名誉毀損に当たらない」というわけではなく、特に後者については明らかなデマであるため、前者よりも名誉毀損と判断される可能性が高いことを付記しておく。
次に裁判所はその他のツイートについて以下のように論じている。
- 被告の「艦娘に人権はない」とする旨のツイートについて、Twitterの性質から考えると一般閲覧者には「艦娘に対する被告個人の卑猥な妄想、あるいは冷笑的な捉え方を具現化したイラスト画像をツイートした」と理解されるものである。よって原告会社が被告の考えに沿うようなキャラクター像を当初から設定している、あるいは被告のツイートを許容しているとは必ずしも理解し得ない。
- 被告の艦娘に関する卑猥なツイートについて、一般閲覧者には「被告が作成した艦娘を基とする卑猥なイラスト画像をタイトル等と共に紹介した」と理解されるものである。よって原告会社が画像等に沿うようなキャラクター像を当初から設定している、あるいは被告のツイートを許容しているとは必ずしも理解し得ない。
- 被告の被部落差別等に言及したツイートについて、一般閲覧者には「被告ないし被告が所属するサークルが作成する同人誌が、ゲーム内で被差別部落に対する差別用語と理解し得る単語が使用されていることを利用し、同人誌の認知向上や原告Aの揶揄を図っている」とりかいされるものである。よって原告会社が艦これと被差別部落問題や台湾問題と関連付けているとは理解し得ない。
- 上記のことから、これらの被告のツイートに対する原告らの主張は採用できない。
カレー機関に関係するもの以外の被告のツイートについては、裁判所は原告側の主張を認めず退けた。
要約すると「被告のツイートは被告個人の範疇に収まるものであって、原告らの名誉毀損になるほどの影響力はない」ということである。「必ずしも理解し得ない」「理解し得ない」という2種類の文言を用いているのは「一般閲覧者の中からどれだけ名誉毀損に当たるような解釈をする者が現れるのか」を示しているのだろう。少なくとも裁判所は「よつ」の問題に関して、「被告のツイート程度では、原告会社が艦これと被部落差別問題&台湾問題を結びつけていると解釈する人は現れない」と言いたいようである。
以上のことから、この争点に関しては原告側の主張を一部認める形で決着となった。
本件ツイートによる原告Aの肖像権及び名誉感情の侵害の成否
損害賠償に関わる争点
損害賠償に関わる争点は下記の通りである。
・本件マスク及びそのデータ廃棄等の必要性の有無 ・原告らの損害及びその額 ・謝罪広告の必要性の有無 (全文pdf 6ページ目)
本件マスク及びそのデータ廃棄等の必要性の有無
原告らの損害及びその額
謝罪広告の必要性の有無
(以下作成中)