「フェイスマスク事件裁判・判決編」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
592行目: 592行目:


=== 原告らの損害及びその額 ===
=== 原告らの損害及びその額 ===
被告が行った行為が原告らに与えた損害、及びその金額についてが争点である。
'''原告らの主張'''
【原告会社の損害】
原告会社が本件同人誌の作成、頒布行為による名誉権の侵害により被った社会的評価の低下の程度等を踏まえると、当該行為により原告会社に対して被告が支払うべき慰謝料は150万円を下らない。
また、原告会社が被告の本件ツイートによる名誉権の侵害により被った社会的評価の低下の程度等を踏まえると、当該行為により原告会社に対して被告が賠償すべき損害額は250万円を下らない。
【原告Aの損害】
原告Aが本件同人誌の作成、頒布行為による名誉権、名誉感情、肖像権及びパブリシティ権の侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は300万円を下らない。
また、原告Aが、被告の本件マスク着用による肖像権、パブリシティ権及び名誉感情の侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は100万円を下らない。
さらに、原告Aが、被告の本件ツイートによる肖像権及び名誉感情等の侵害により被った精神的苦痛に対する慰謝料は200万円を下らない。
【弁護士費用相当損害額】
原告らは、被告の行為が悪質かつ継続的に行われていたことから、本件につき弁護士に委任せざるを得なくなった。その弁護士費用のうち、少なくとも請求額の1割相当である100万円は、被告の不法行為と相当因果関係のある損害である。
(全文pdf 14~15ページ目)
'''被告の主張'''
争う。慰謝料の算定に当たっては、被告が本件マスクをかぶったのはイベント当日の1日だけであり、本件マスクの頒布はしていないこと、本件同人誌の販売数は10冊程度であり、頒布したイベントは1日だけであること、本件同人誌を販売業者に販売委託したことはあるが、本件即売会の2日後には販売依頼を取り下げており、1冊も販売されていないこと、本件ツイートはいずれもリツイートや「いいね」の回数が少なく、ほとんど注目を集めていないこと、本件ゲームにおいて、本件キャラクターは被弾してダメージを受けると脱衣するという設定であり、清純なイメージはないこと等の事情を考慮すべきである。
(全文pdf 15ページ目)
原告会社が主張する賠償金の金額は以下の通りである。
*被告の同人誌の作成・頒布行為による原告会社に対する名誉権侵害に対し、被告が原告会社に支払うべき慰謝料は150万円が最低である。
*被告のツイートによる原告会社に対する名誉権侵害に対し、被告が原告会社に支払うべき賠償金は250万円が最低である。
また原告Aが主張する賠償金の金額は以下の通りである。
*被告の同人誌の作成・頒布行為による原告Aに対する名誉権・名誉感情・肖像権およびパブリシティ権の侵害に対し、被告が原告Aに支払うべき慰謝料は300万円が最低である。
*被告のフェイスマスク着用による原告Aに対する名誉感情・肖像権およびパブリシティ権の侵害に対し、被告が原告Aに支払うべき慰謝料は100万円が最低である。
*被告のツイートによる原告Aに対する名誉感情および肖像権の侵害に対し、被告が原告Aに支払うべき慰謝料は200万円が最低である。
更に原告らは弁護士費用相当損害額として以下の金額を主張している。
*原告らが本件を弁護士に委任せざるをえなくなったのは、被告の行為が悪質かつ継続的に行われていたためである。よってその弁護士費用のうち、請求額の1割に相当する100万円は最低でも被告が支払う必要がある。
以上を理由として、原告側は被告に対し合計1100万円の損害賠償を請求した。
これに対し被告側の主張は以下の通りである。
*被告がフェイスマスクを被ったのは1日だけである。加えて、
:①フェイスマスクの頒布はしていない。
:②即売会における同人誌の販売は10冊程度である。
:③同人誌を頒布したイベントは1日だけである。
:④同人誌を販売業者に委託したものの、即売会の2日後には取り下げているため1冊も販売されていない。
:⑤被告のツイートはいずれもリツイートや「いいね」の回数が少なく、ほとんど注目を集めていない。
:⑥艦これにおいて、艦娘は被弾してダメージを受けると脱衣するという設定であり、清純なイメージはない。
:といった事情があるため、それらを考慮して慰謝料を算定するべきである。
被告側は原告側からの損害賠償請求を減額するために複数の主張を行っている。特に⑥については「被弾して脱衣する艦娘は元から不純である」という、ゲーム内の表現を利用した反論と言えるだろう。原告側は「被告の行為は艦娘のイメージを損ない、延いては原告らの名誉毀損につながる」といった主張を繰り返し行っていたため、その主張を突き崩すための反論と思われる。
'''裁判所の判断'''
【原告Aの損害及びその額】
原告Aの損害額については、以下のとおり、合計275万円とするのが相当である。
《被告の同人誌の頒布に関して》
本件同人誌は、原告Aがプロデューサーとして関与する本件ゲームでの設定とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱うと共に、同原告の顔写真等を掲載して同原告を揶揄ないし中傷する内容を含むものである。これによる同原告に対する社会的評価の低下の程度は無視し得ず、かつ、同原告に対する侮辱の程度は高いといえる。他方、本件同人誌の販売数は証拠上不明であり(なお、被告はこの点につき10冊程度と主張する。)、また、被告による本件マスクの着用は本件即売会当日の1日だけにとどまる。
これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件同人誌の頒布等による原告Aの名誉毀損並びに本件マスクの着用、本件同人誌の頒布等による原告Aの肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害により賠償すべき損害額については、150万円とするのが相当である。
《被告のツイートに関して》
本件ツイートのうち、本件店舗に関する投稿は、原告Aが違法な風俗店を経営した疑いで逮捕されたという事実をインターネット上で公開するものであり、これによる同原告の社会的評価の低下は無視できない。同原告の顔写真等の投稿も、同原告を執拗に揶揄する悪質なものといえる。
他方、被告によるこれらの投稿の閲覧者数は証拠上不明である。
これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件ツイートのうち、本件店舗に関する投稿による原告Aの名誉毀損及び名誉感情の侵害並びに同原告の顔写真等の投稿による肖像に係る人格的利益及び名誉感情の侵害により賠償すべき損害額については、100万円とするのが相当である。
《弁護士費用相当損害額》
以上に照らすと、本件の各不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は、25 万円とするのが相当である。
【原告会社の損害及びその額】
原告会社の損害額については、以下のとおり、合計165万円とするのが相当である。
《被告の同人誌の頒布に関して》
前記のとおり、本件同人誌は、原告会社が開発・運営する本件ゲームでの設定とは異なり、本件キャラクターを性玩具として扱う内容を含むものである。これによる原告会社に対する社会的評価の低下の程度は無視し得ない。他方、本件同人誌の販売数は証拠上不明である。
これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件同人誌の頒布等による原告会社の名誉毀損により賠償すべき損害額については、50万円とするのが相当である。
《被告のツイートに関して》
前記のとおり、本件店舗に関する投稿は、原告会社の運営する店舗が違法な風俗店として捜査機関により摘発され、その代表者である原告Aが逮捕されたという事実をインターネット上で公開するものであり、これによる原告会社の社会的評価の低下は無視できない。他方、その投稿の閲覧者数は証拠上不明である。
これらの事情その他本件に顕れた事情を併せ考慮すると、本件店舗に関する投稿による原告会社の名誉毀損により賠償すべき損害額については、100万円とするのが相当である。
《弁護士費用相当損害額》
以上に照らすと、本件の各不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は、15万円とするのが相当である。
(全文pdf 25~27ページ目)


----
----
=== 謝罪広告の必要性の有無 ===
=== 謝罪広告の必要性の有無 ===


8,817

回編集

案内メニュー